おひとりさまの中には、老後はペットを飼って癒されたいと考える方もいるのではないでしょうか。
一人暮らしの生活において、ペットの存在は特別なものです。帰宅したときの無条件の歓迎、寂しい夜に寄り添ってくれる温もり、言葉を交わさなくても通じ合える深い絆…まさに人生のパートナーと言える存在ですよね。
しかし、自分自身の終活と同時に「自分がお世話できなくなった時に愛するペットはどうなってしまうんだろう」と心配になってしまいます。
病気やケガなどで入院が必要になった時や介護施設に入居しなくてはならなくなった時などお世話ができなくなる時はいつやってくるかはわかりません。
私たちおひとりさまにとって、大切な家族であるペットの将来を考えることも終活の重要な一部です。いつか訪れる別れに備えて、今からできる準備や考えておくべきことをまとめました。

ペットと自分、双方の幸せを考えた終活のヒントをご紹介します。
ペットが先に旅立つ場合の終活準備

多くの場合、ペットの寿命は人間より短いため、お別れの時を迎える可能性が高いです。大切な家族であるペットとの最期を穏やかに過ごし、後悔のないお別れをするために、今からできる準備について考えてみましょう。
ペットの高齢化に備える生活環境の整備
ペットも年を重ねると、人間と同じように体の不調や認知機能の低下などが見られます。こうした変化に対応するために、生活環境を整えておくことが大切です。
例えば、犬や猫の場合、関節への負担を減らすためにスロープを設置したり、すべりにくい床材に変えたりすることで、高齢ペットの快適な生活をサポートできます。また、トイレの位置や餌の与え方なども、加齢に合わせて工夫することが必要になってきます。
ペットの医療費と介護費用の準備
人間と同様に、ペットも高齢になると医療費がかさむ傾向があります。定期検診の頻度が増えたり、継続的な投薬が必要になったりすることも珍しくありません。
こうした出費に備えてペット保険に加入しておくことや、ペット用の貯蓄を別に設けておくことも検討価値があります。ペット保険は加入時の年齢制限や、過去の病歴で加入ができないケースもあるため元気なうちから考えておく方が良いでしょう。
しっかり備えていなければ、ペットの病気やケガなどで緊急な処置が必要になってしまった場合にパニックになってしまうかもしれません。人間の緊急時であれば救急車を呼んで救急隊に判断してもらえますが、ペットの緊急時は飼い主がしっかり準備して対応するしかありません。
そのため、いざという時の備えとして主治医の情報などを整理しておきスムーズに対応できるようにしておけば落ち着いて対応できます。
また、ペットが急に亡くなってしまった場合なども、混乱してしまいさまざまな判断をするのが大変になってしまうことがあります。深い悲しみに暮れてしまい、ペットの埋葬方法などを考える余裕がなくなってしまう可能性も。
いざという時に備えて、余裕のある時に準備しておくと安心です。
ペットロスを軽減する
ペットを失ってしまった時の悲しみは計り知れないものです。食欲がなくなったり眠れなくなったりペットロスでなかなか立ち直れない方も多いでしょう。毎日一緒に過ごし、大切にしてきたペットがなくなったのですから亡くなった悲しみに暮れてしまうのは当然のことです。
ペットの終活をしておくと、このような辛い状況を軽減してくれると言われます。前もって心の準備をしておくことも大切です。同じ経験をした人との交流の場に参加したり、ペットロスに関する本を読んだりすることで、自分の感情と向き合う方法を学んでおくと良いでしょう。
誰しもペットの最期は考えたくないものですが、生きている間に悔いのないように準備し、愛情を注いで思い出を残しましょう。
自分が先に旅立つ場合のペットの終活

ペットを飼う時は、最期まで責任を持って大切に育てたいと覚悟を持ってお迎えするはずです。
しかし、どれだけ覚悟を持ってお迎えしたとしても飼い主の自分に病気やケガが起きたり、災害などの予期せぬ状況が起きたりするのは誰にも予想ができません。自分にもしものことがあった時に一番に心配になるのが愛するペットのことではないでしょうか。

自宅にペットが放置されてしまったら、自治体などに処分されてしまう可能性もあります。
そんなことにならないように、自分に万が一のことがあった場合のために対策を講じておくことが重要です。
ペットの引き取り先を考えておく
自分がペットの世話をできなくなった時に誰に引き取ってもらうのかを決めておきましょう。
親族や友人にお願いする
親族や友人にお願いできる人がいれば、ペットのことを知ってもらえているので安心です。
しかし、家族がいてもあまりペットのお世話に関わっていなかった場合や、忙しくて十分にお世話ができない家族もいます。他の親族や友人に頼むとなっても、ペットをお迎えするのは責任のかかることなので気軽に頼めるものではないでしょう。
家族や友人に頼む場合は、元気なうちにしっかり話し合っておく必要があります。
ペット信託
もしもの時に備えて「ペット信託」という方法もあります。
ペット信託とは、自分の財産の一部を信頼できる第三者に託して、自分にもしものことがあった時に運用してもらう制度です。自分の残した財産からペットへの飼育費を支払ってもらうことができます。
飼い主の死亡時だけでなく、急な病気やけが、施設への入居で飼えなくなった時などでも対応してもらえます。
ペットの信託財産は相続財産とは別扱いになっており、ペットのために財産を残しておけるのがメリットです。しかし、信託財産を管理してもらう人やペットを飼育してもらう人を選任するのが困難であることや、初期費用や飼育費用にはそれなりの金額が必要になることなどデメリットもあります。
ペットのエンディングノートを作成する
ペットのエンディングノートは飼い主に万が一のことがあった時に役立ちます。引き取り先を記載しておけばペットが路頭に迷うことなく、スムーズに引き渡すことができます。
また、無事に引き渡せた後も安心して過ごせるようにするために、情報をしっかり記載しておけばペットも引き取り先も安心です。
エンディングノートに記載する内容には以下のような項目があります。
- 基本データ(名前・種類・性別・誕生日・体長・体重・血統書の有無・登録番号)
- 緊急連絡先・引き取り先
- 加入保険
- 医療情報(かかりつけ医・持病・服薬・予防接種の有無・去勢、避妊の有無)
- 食事内容(お気に入りフード・回数・量・アレルギー)
- 生活習慣(トイレ・散歩・入浴・トリミング・好きな遊び)
- 供養の方法
ペット専用のエンディングノートも販売されているので参考にしてみるのも良いでしょう。
公正証書遺言でペットのことを明記する
法律上、ペットは「動産」として扱われるため、遺言書にペットの引き取り手や世話のための資金について明記することができます。特に公正証書遺言は法的効力が高く確実性があるため、おすすめです。
遺言書には、ペットの新しい飼い主となる人の氏名、ペットのケアに必要な資金、ペットの好みや習慣、かかりつけの動物病院などの情報を詳細に記しておくと安心です。

遺言書についてはこちらの記事も参考にして下さい!
葬儀・埋葬の方法を考えておく
ペットの埋葬方法には土葬と火葬があります。土葬するには場所の問題などをクリアしなければならないため、近年では火葬をするケースの方が多くなっています。
火葬は自治体で依頼するか、ペット葬儀会社に依頼するかのどちらかです。同火葬の場合は遺骨が返ってこないため、納骨まで行いたい場合は注意してください。
民間のペット専門の葬儀業者に依頼した場合は、葬儀やお墓についても検討しておきます。
ペットの遺骨を自宅に持ち帰って供養する手元供養や、海や山にまく散骨の他に、ペット霊園で遺骨を安置することもできます。
飼い主と同じお墓に入る方法も。ただし、同じお墓に入れないケースもあるので確認が必要です。
お葬式やお墓については生きている間に予約もできるので、検討したうえで確認しておくと良いでしょう。
ペットの終活は自分のためにも早めに行おう

この記事ではペットの終活について解説しました。
ペットの終活をすることは、ペットのためだけでなく自分のためにもなります。
一度にすべてを完璧に準備することは難しいかもしれませんが、少しずつ進めていくことで、あなたとペットの安心につながります。終活ペットは、愛するペットへの最後の贈り物だと思って取り組んでみてはいかがでしょうか。