40代独身女性として、これからの人生を自分らしく生きるために「終活」を意識し始める方が増えています。その中でも「遺言書の作成」は、自分の意思を形に残すために欠かせないステップです。
配偶者も子どももいないおひとりさまは、自分が亡くなった後の財産を誰に託したら良いのでしょうか。
「別に財産なんてないから大丈夫!」なんて思うかもしれませんが、いつ死ぬかなんて誰にも分かりませんよね…

亡くなる直前に全ての財産をきれいさっぱり使い切ることができれば良いのですが、そううまくはいかないですよね。
特におひとりさまの場合、遺産相続についての備えがなければ、思いもよらない事態を招く可能性もあります。
本記事では、終活における遺言書の役割や注意点、おひとりさまならではのポイントについて詳しく解説します!
遺言書がない場合、おひとりさまの遺産はどうなる?


家族のいないおひとりさまは、誰に遺産相続したら良いのでしょうか。
通常は、遺産を相続する人は「法定相続人」として民法で定められています。
独身で子どももいない場合、遺産相続は少し複雑になります。基本的な流れを押さえておきましょう。
法定相続人がいる場合の優先順位
法定相続人になるのは一般的には「配偶者」です。配偶者以外に相続人として財産を受け取る権利があるのは以下の方たちです。
- 第1順位 子(孫、ひ孫) ※養子を含む
- 第2順位 父母(祖父母)
- 第3順位 兄弟姉妹(甥・姪)
おひとりさまは配偶者がいないので、両親、兄弟姉妹、甥・姪などが相続人となる可能性があります。
両親が健在であれば両親に、亡くなっていれば兄弟姉妹へ、さらに兄弟姉妹もいない場合は甥・姪に遺産が渡るケースが一般的です。
しかし、自分が長生きすれば両親や兄弟姉妹も亡くなっている可能性が高くなります。
希望する相続人がいる場合は遺言書が必要
法定相続人以外に財産を残したい人がいる場合は、遺言書で指定してく必要があります。法定相続人がいても、他の人に相続したい場合もあるでしょう。
法定相続人以外の相続先には以下のようなケースが考えられます。
- 内縁の妻・夫
- 法定相続人ではない親戚
- 友人・知などお世話になった人
- 寄付
ただし、法定相続人の第1順位である「子」や「親」は遺留分として財産を受け取る権利を持っているので、遺留分侵害額請求により金銭の支払を請求をすることが可能です。
法定相続人以外の人に相続したい場合は、遺留分を侵さない範囲で配分を検討し遺言を残しておくことが必要です。
相続者がいなければどうなるの?
相続者がいない場合、遺言書があれば遺言書の通りに相続されますが、遺言書がない場合や相続人が相続を放棄した場合などは財産は国のものになります。
ただし、相続権はないけれど事実婚の関係にあった方や療養のお世話をしていた方などが該当する「特別縁故者」が相続できることも。
もらえる遺産は全額ではなく家庭裁判所が判断した金額になります。
自分が大切にしてきた財産がどうなるのかを自分で決めておきたい場合、遺言書の作成は必須といえます。
遺言書の書き方はどうしたらいい?

遺言書は以下の3種類です。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
終活を進める中で、遺言書の種類と特徴を理解しておくことはとても重要です。
それぞれの形式にはメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を選びましょう。
1.自筆証書遺言
自筆証書遺言は、自分で全て手書きをして作成する遺言書です。
全て自筆ですが、2019年の法改正により財産目録のパソコン作成や証明書・通帳のコピーを添付する方法が認められるようになりました。2020年からは法務局での保管制度も始まり、安全性が高まっています。
自筆証書遺言は自筆で手軽に書けますが、決められた書式で記載されていないと無効になってしまう可能性があるので注意が必要です。
2.公正証書遺言
公正証書遺言は相続に利害関係のない証人2名に立ち会ってもらい、公証人に作成してもらいます。
そのため、相続人に遺言内容を秘密にしておくことが可能です。
費用はかかりますが、法律の専門家が関与するため、無効リスクが低く、紛失や改ざんの心配もありません。
公証人に作成してもらい公証役場で保管されるため確実に自分の意思を残すことができる遺言書の作成方法です。
3.秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言書の内容を誰にも知られることなく存在だけを証明してもらう遺言の方法です。
遺言書を封筒に入れて封をしてから公証役場に持っていき、公証人と2人の証人に証明してもらいます。
遺言書は公証役場で保管するのではなく、証明してもらった後に持ち帰って保管します。
秘密証書遺言は、内容を誰にも知られることなく作成できますが、記載方法が法的に有効でなければ認められないケースがあるので注意が必要です。
また、遺言書が発見されないリスクも考えられます。
遺言書作成の注意点

遺言書のルールを守って正しく記載する
前述している通り、遺言書は正しく記載していなければ効力がありません。
自筆の場合、日付や氏名を手書きして署名押印が必要です。内容を変更したい場合も、訂正する際のルールを守って訂正する必要があります。公証人に作成してもらった場合は、費用がかかりますが法律で決められたルールに則って正しく記載できるので確実です。
しかし、遺言の内容を誰にも知られたくない方は、公証人に作成してしてもらわず自分で作成したい方がいるかもしれません。無効になるリスクも考えて遺言の形式を慎重に選びましょう。
遺言執行者を指名しておく
遺言執行者とは、遺言内容を実行する人のことを指します。
相続人がいないおひとりさまは、遺言執行者を弁護士・行政書士・司法書などにお願いすることも可能です。遺言書で遺言執行者を指定しておけば、相続人の間でトラブルを防ぎ、遺言内容をスムーズに実行できます。
遺言執行者を決めておけば、相続について遠い親族に迷惑をかけずに済むため検討しておきましょう。
医療・介護に関する希望もまとめておく
遺言書そのものには直接関係しませんが、終末期医療の希望(延命治療を希望するか、しないか)、介護が必要になった場合の方針(在宅希望、施設入所希望など)をエンディングノート等にまとめておくと、より自分らしい生き方を支えることができます。
元気なうちに早めに作成しておく
高齢になると認知症や疾病などで判断能力が低下する可能性があるため、高齢になってから遺言書を作成すると、作成時の判断能力を疑われるケースがあります。

判断能力が完全に低下している状態で作成された遺言書は無効になってしまうので注意が必要です。
遺言書を作成するときは、自分の財産を把握したり書類を準備したり手続きに手間や時間がかかります。
体力や気力が低下してから作成するのには大変な作業なので、元気なうちに早めにとりかかるのがおすすめです。
定期的に見直しを行う
40代はこれから仕事、住まい、健康状態、人間関係などが変化しやすい時期です。たとえば財産の増減、家族構成の変化、大切な友人との関係変化などがあれば、それに合わせて遺言書の内容も見直しましょう。
最低でも2〜3年に一度は確認する習慣をつけると安心です。
遺言書作成に活用できるサポートサービス
初めて遺言書を作成する場合、不安を感じることもあるでしょう。以下のようなサポートを上手に利用するのがおすすめです。
- 弁護士・司法書士への相談
- 終活カウンセラーによるサポート
- オンライン遺言書作成サービス
- 終活イベントやセミナーへの参加
費用はかかりますが、専門家に任せることで安心感が得られます。
おひとりさまも遺言書が必要

40代独身女性にとって、終活での遺言書作成は「自分らしく生ききるための準備」です。
大切な財産をどう生かすか、誰に何を託すか、自分自身で決めることができるのは、今この瞬間しかありません。
おひとりさまの場合、遺言書がなければほとんど関わりのない遠い親戚に迷惑をかけてしまう可能性があります。
亡くなった後の手続きを誰に頼んでおくのかをしっかり検討しておきましょう。

未来の自分、そして周囲の大切な人たちに向けて、一歩踏み出してみませんか。