40代後半になると、老後のことや自分の最期について考える機会が増えてきますよね。

特におひとりさまの場合、「誰に迷惑をかけることなく、自分らしい最期を迎えたい」という思いが強くなるものです。
終活は人生の終わりに向けて「備える」ことです。そして、生命保険は日常生活で起こる様々なリスクに「備える」制度です。どちらも「備える」という考えで一致していますが、おひとりさまの場合、どのような備えが必要なのでしょうか。
今回は、40代後半のおひとりさまが知っておきたい、終活における生命保険の基礎知識について詳しくお話しします。
終活で知っておきたい保険の種類
まずは、終活に関わる保険にはどのような種類があるのかを整理してみましょう。自分にとって必要な保障を考える上で、基本的な知識を身につけることが大切です。
保険の種類 | 保障内容 | 特徴・ポイント |
---|---|---|
終身保険 | 一生涯の死亡保障 | ・解約返戻金あり(貯蓄性) ・保険料は高め ・資産形成にも活用可能 |
定期保険 | 一定期間の死亡保障 | ・保険料が安い ・掛け捨てタイプ ・貯蓄性なし |
医療保険 | 入院・手術時の給付 | ・入院給付金・手術給付金 ・女性疾病特約も付加可能 ・先進医療特約で治療選択肢拡大 |
がん保険 | がん治療時の給付 | ・がん診断給付金 ・がん入院・手術給付金 ・40代から特に重要 |
就業不能保険 | 働けない時の収入補償 | ・月々の給付金 ・収入減少リスクに対応 ・おひとりさまには重要 |
個人年金保険 | 老後資金の準備 | ・将来の年金受取 ・公的年金の補完 ・長期の資産形成 |
おひとりさまに生命保険は必要なのか


個人の状況や考え方によって異なりますが、おひとりさまであっても生命保険は「必ずしも必要ではありません」。
ご自身のライフステージやリスクに応じて、適合した保険に加入することが最重要です。
死亡保障の必要性は低い
一般的に、生命保険の死亡保障は、遺された家族の生活費を補填することを主な目的としています。おひとりさまの場合、扶養する家族がいないため、高額な死亡保障の必要性は低いと考えられます。
ただし、ご両親の介護費用を心配している場合や、親族に迷惑をかけたくないという思いがある場合は、適度な死亡保障を検討してもよいでしょう。
また、葬儀費用や遺品整理、住居の片付けなどにかかる費用として、200万円から300万円程度の死亡保障があると安心です。ただし、この程度の金額であれば貯蓄で準備することも可能です。
医療保障の重要性
日本では公的医療保険が充実しているため、「民間の医療保険は不要」という意見もあります。
確かに高額療養費制度などにより、医療費の自己負担は一定額に抑えられます。しかし、おひとりさまの場合は特に慎重に検討したいところです。病気やケガで働けなくなった場合、収入が途絶えてしまう上に、治療費や入院時の諸費用が家計に重くのしかかります。
特に40代後半の女性は、乳がんや子宮頸がんなどの女性特有の疾患リスクが高まる年代でもあります。医療保険の必要性は、個々の状況や価値観によって異なるため、ご自身のライフスタイルに合わせて判断することが大切です。
老後資金の準備
公的年金だけでは不安なおひとりさまにとって、個人年金保険などを活用した老後資金の準備も検討に値します。
また、介護が必要になった場合は公的介護保険制度がありますが、利用者負担(1~3割)や保険外のサービス費用もかかるため、民間の介護保険で補完することも可能です。ただし、保険料が家計の負担にならない範囲で検討することが大切です。
終活で考える保険選びのポイント

終活を進める上で生命保険を見直す際の重要なポイントをお伝えします。
現在の保険内容を整理する
まずは、現在加入している保険の内容を整理しましょう。保険証券を集めて、以下の項目を確認してください。
- 保険の種類と保障内容
- 保険金額・給付金額
- 保険料と払込期間
- 受取人の設定
多くの方が、必要以上の保険に加入してしまっているケースがあります。本当に必要な保障かどうかを見極めることが大切です。
自分に必要な保障を整理する
おひとりさまの場合、それぞれの保障にはどのような特徴があるのかを理解し、ご自身の状況に合わせて検討することが大切です。
保障の種類 | 保障内容 | こんな方におすすめ |
---|---|---|
医療保障 | 病気やケガの治療費に備える | 公的医療保険でカバーされない部分や、働けない期間の収入減少が心配な方 |
がん保障 | がん治療時の経済的負担に備える | 40代後半からリスクが高まるため多くの方が関心を持つ。がん治療の長期化や治療選択肢の拡大に備えたい方 |
就業不能保障 | 働けなくなった場合の収入減少に備える | 貯蓄が少ない方や、収入が途絶えることへの不安が大きい方 |
死亡保障 | 葬儀費用や死後整理費用に備える | 葬儀費用や整理費用程度の最小限で十分な場合が多いが、親族への配慮を重視する方 |
老後資金準備 | 将来の生活資金を準備する | 公的年金だけでは不安な方や、より豊かな老後生活を望む方 |
保険を検討する際は、保険料が家計に無理のない範囲であることも重要です。40代後半であれば、老後資金の準備も本格化させる必要があります。
複数の終身保険に加入し、年間40万円以上の保険料を支払っているような過剰な保障は、本当に必要な貯蓄を妨げる可能性があります。

保険料に多額を費やすよりも、貯蓄率を高めることを優先し、必要最小限の保障で安心を確保しましょう!
公的制度を理解した上で保険を検討する
日本の社会保障制度は充実しています。まずは公的制度でどこまでカバーされるのかを理解し、その上で民間保険の必要性を判断することが大切です。
公的制度 | 制度内容 | おひとりさまへの影響 |
---|---|---|
公的医療保険 | 高額療養費制度:月額医療費自己負担6~9万円程度 傷病手当金:給与の約3分の2を最長1年6カ月支給 | 医療費負担を大幅軽減 働けない期間の収入を一定期間保障 |
公的介護保険 | 40歳以上が加入、要介護認定で1~3割自己負担 保険外サービスや個室料金は全額自己負担 | 介護サービス利用時の負担軽減 ただし保険外費用への備えが必要 |
障害年金 | 病気やケガで働けなくなった場合 要件満たせば障害基礎年金・障害厚生年金を受給 | 長期間働けない場合の生活保障 |
遺族年金 | 亡くなった場合に家族が受給 | おひとりさまには直接的な受給者がいないため恩恵は限定的 |
これらの公的制度でカバーできる部分と民間保険で補完すべき部分を整理し、バランスの良い保障設計を心がけましょう。
保険料は家計に無理のない範囲で
保険料は毎月必ず発生する固定支出のため、家計への影響をしっかりと考慮する必要があります。40代後半のおひとりさまであれば、老後資金の準備も本格化させなければならない重要な時期です。
一般的に、保険料は手取り収入の5~10%程度が適正とされていますが、これはあくまで目安です。現在の生活費、将来の老後資金、緊急時の貯蓄などを総合的に考慮して決めることが大切です。
高額な保険料を支払って家計が圧迫されるよりも、適度な保障を確保しつつ、貯蓄率を高めることを優先しましょう。保険はあくまでリスクに備えるツールであり、資産形成の主軸は貯蓄や投資であることを忘れてはいけません。
定期的な見直しを行う

保険は一度加入したら終わりではありません。
健康状態や家計状況、ライフスタイルの変化に合わせて、定期的な見直しを行うことをおすすめします。
例えば、住宅ローンを完済した場合は死亡保障を減額できますし、収入が増えた場合は医療保障を充実させることも可能です。また、保険業界では新しい商品が次々と登場し、既存商品よりも保険料が安くなったり、保障内容が改善されたりすることもあります。
医療技術の進歩や制度改正により、保険の必要性自体が変わることもあるため、定期的な情報収集も怠らないことが大切です。特に40代後半以降は健康リスクが高まる時期でもあるため、保険の見直しとともに健康管理にも一層注意を払いましょう。
保険情報の整理と管理
保険に関する書類や情報の整理も終活の大切な準備の一つです。いざというときに保険金や給付金を確実に受け取るためには、事前の準備が欠かせません。
まず、加入している全ての保険の保険証券、約款、パンフレットなどを一箇所にまとめておきましょう。保険会社名、契約者名、被保険者名、受取人、保険金額、連絡先などを一覧表にして、家族や信頼できる人に保管場所を伝えておくことも大切です。デジタル化が進む現代では、保険会社のWEBサイトのログイン情報なども整理し、安全な場所に保管しておくことをおすすめします。

こうした保険情報をまとめるのに便利なのがエンディングノートです!
エンディングノートには保険に関する情報だけでなく、銀行口座、年金、医療・介護の希望、葬儀の希望なども記録できます。定期的に内容を見直し、最新の情報に更新することも忘れずに行いましょう。
自分らしい終活と保険選びを始めましょう

40代後半のおひとりさまにとって、生命保険は「必ずしも必要ではないが、適切に活用すれば心強い味方になる」存在です。
大切なのは、保険料が家計の負担にならない範囲で、必要最小限の保障を確保することです。
終活は人生の終わりに向けた準備ですが、同時に残された人生をより豊かに過ごすための活動でもあります。保険についても、不安を解消し、安心して毎日を過ごすためのツールとして上手に活用していきましょう。
一人で判断するのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも一つです。あなたらしい終活を進めて、充実したセカンドライフを送るための第一歩を踏み出しませんか。