
おひとりさまに墓は必要なの?
墓を継ぐ人がいないけれど、先祖代々の墓はどうなる?
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
最近では、少子化や未婚率の上昇で自分のお墓や先祖代々のお墓をどうしたらいいのか悩んでいる方も多いようです。
この記事では、おひとりさまが考えておきたいお墓についての情報をまとめています。
お墓は必要ではないが供養する必要がある

そもそもお墓って必要なの?
お墓は必ずいるものなのか気になるところですが、お墓はなくても大丈夫です。
ただし、死後に供養せず適当に処分することは法律に違反します。
亡くなった後に遺体の引き取り手がいない場合は自治体が火葬し、一定期間保管した後「無縁塚」に埋葬されます。
お墓はなくても大丈夫ですが、何らかの方法で弔うことが必要です。
おひとりさまのお墓選び・埋葬方法

お墓を持たない方法もありますし、墓石を使った立派なお墓を建てなくてもさまざまな形式で遺骨を納めることもできます。

おひとりさまに適しているお墓や供養の方法をみていきましょう!
先祖代々の墓に入る
先祖代々のお墓に入る人については規定がありません。
しかし、昔からの風習では家を継ぐ長男が先祖代々のお墓に入り継承していくという考えが一般的です。
結婚していれば嫁ぎ先の先祖のお墓に入りますが、独身であれば実家の先祖代々の墓に入るのも可能です。
離婚して苗字を戻している方も実家のお墓に入る場合があるでしょう。
ただし、自分に子どもがいない場合はお墓の継承者がいないため、その後のことを考えておく必要があります。
永代供養墓
永代供養墓とは、霊園や寺院が遺骨を供養し管理をしてくれるお墓のことをいいます。
子孫がお墓を継承する必要がないため、おひとりさまに適している埋葬方法です。
たくさんの人と一緒に納骨される合祀が一般的ですが、最近では金額もシステムもさまざまなタイプの永代供養が増えています。
納骨堂
納骨堂は屋内にお骨を納めて供養するお墓です。
ロッカー式・ 遺骨が自動で搬送される自動搬送式・仏壇が用意されている仏壇式・位牌を掲げる位牌式などさまざまな形式があります。
安価でアクセスが良い場所に設置されていることが多いため、お墓の負担が軽減されます。
従来は遺骨を一時的に安置できる施設でしたが、最近では永代供養をしてくれるお寺も増えており、現代のライフスタイルにマッチした人気の供養方法です。
樹木葬
樹木葬とは木や花を墓標にする自然スタイルのお墓です。
墓石の代わりに樹木や花壇などのスペースを作り、そこに遺骨を埋葬します。
墓石より初期費用や年間管理費が安く抑えられ、自然あふれる環境で埋葬してもらえるのが樹木葬のメリットです。
一定期間、自然に還りやすい素材で作られた骨壷や納骨袋で遺骨を納めたあとに合祀する方法や、そのまま土に埋葬する方法など霊園によりさまざまな形があります。
散骨
散骨は、遺骨を粉砕し海や山などにまく埋葬方法です。
自然に還るので、亡くなってからお墓の心配をする必要がありません。
ただし、お墓がないのは遺された方にとっては寂しいと感じる方もいるようです。
命日などに、散骨した海や山に手をあわせ故人を偲ぶ方もいます。
散骨は違法にならないか気になる方も多いと思いますが、2021年3月に散骨事業者向けに「散骨に関するガイドライン」が発表され、ルールが確立されました。
散骨が原因でトラブルが発生した地域もあり、自治体によってルールが定められているので散骨について熟知している専門業者に依頼すると安心です。
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お墓を継ぐ人がいない場合は墓じまいも検討

自分を埋葬してもらう方法は自分の希望に沿って選べますが、先祖代々のお墓がある場合はどのようにしたらよいでしょうか。
お墓を継ぐ人がいない場合は、「墓じまい」についても検討しなくてはいけません。
墓じまいとはお墓を閉じることです。遺骨を取り出し墓地を返還します。
遺骨が入っているため、簡単にお墓を撤去してお引越しという訳にはいきません。
お墓を移動するための行政手続きやお墓の解体業者、新しい受け入れ先も検討する必要があります。
最近ではトータルでサポートしてくれる墓じまいの業者もあるのでサポートしてもらうのも一つです。
墓じまいの流れを確認
ここからは、墓じまいの流れや費用について確認しておきましょう。
1.親族で話し合う
墓じまいを検討する前に、最初に必ず行うべきことは親族との話し合いです。
先祖代々のお墓には、身近な家族だけでなくあまり会ったことのない遠縁の親戚が埋葬されているケースもあります。
お墓参りを習慣化していた親戚からすれば、今まで手を合わせに行っていたお墓がなくなることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
また、継承を希望する方がいるかもしれません。
お墓についての考えは人それぞれ違います。トラブルを避けるためにもしっかり話し合い、親族全員の了承を得ておくことが大切です。
2.新しい供養方法を決める
親族との話し合いの際と、同時進行で新しい供養方法も相談しておきましょう。
墓じまいには「改葬許可証」が必要であり、新しい供養が決まっていないと改葬許可証を取得できません。
墓じまいをすることに了承を得たら、新しい供養方法を最終決定します。
おひとりさまは、跡継ぎがいないという理由で墓じまいをするケースが多いので永代供養できる方法を検討するとよいでしょう。
3.現在の墓地管理者に相談する
墓じまいの手続きの際には、現在の墓地管理者に埋葬証明書を発行してもらう必要があります。
霊園などであれば管理事務所に伝えましょう。
寺院の場合は檀家をやめることになるため、寺院に墓じまいをしなくてはいけない理由や感謝の気持ちを伝え丁寧に説明することが大切です。
遺骨を別の霊園や寺院に移す場合は檀家関係を解消する「離檀」にあたります。
寺院にとって墓じまいは、檀家からのお布施や使用料などの収入がなくなってしまうことにもつながります。
離檀の際には高額な離檀料がかかる場合もあるので気をつけてください。
4.墓じまいを依頼する業者を決める
墓じまいには墓石の解体・撤去が必要です。
一般的には石材店に依頼しますが、施設によっては業者が指定されているため必ず確認しておきます。
墓じまいにかかる費用は決して安いものではありません。
自分で業者を選定する場合、費用は複数業者から見積もりを取って比較することがおすすめです。
5.行政手続きをする
お墓をお引越しするには、自治体で手続きをして「改葬許可証」を発行してもらう必要があります。
改葬許可証を入手するためには以下の書類が必要です。
改葬許可証を発行してもらったら墓じまいの手続きは完了です。
6.閉眼供養をする
仏教の方は、お墓からお骨を出す時に「閉眼供養」を行います。
閉眼供養とは、お墓に宿っている仏様の魂を抜き取るための儀式で、墓前で僧侶に読経してもらいます。
7.お墓を解体する
行政手続きと閉眼供養が済んだら解体・撤去工事の開始が可能です。
墓石を撤去し遺骨を取り出して更地に戻したら、墓地をお墓の管理者へ返還します。
新しい受け入れ先で遺骨を供養しましょう。
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墓じまいにかかる手続き・費用


墓じまいの流れはわかったけれど費用が高そう……
墓じまいの流れを確認しただけでも費用がたくさんかかりそうですよね。
ここからは費用相場をみていきましょう。
お墓の解体にかかる費用相場
お墓の解体にかかる費用相場は以下の通りです。
お墓の撤去費用は、お墓の大きさや広さにより費用は変わります。
お寺にお墓があった場合は離檀料が必要になりますが、離檀料にはとくに決まったルールはありません。
今までの感謝の気持ちとして納める慣習になっています。
行政手続きにかかる費用相場
「改葬許可証」を発行してもらうために手数料がかかる場合があります。
手数料は自治体によって異なりますが、無料のところもあり大きな金額にはならないでしょう。
新しい供養先にかかる費用相場
墓じまいをした後は、新しい供養先によって費用が異なります。
墓じまい同様、遺骨の供養の方法は大切な選択です。
お墓を継ぐひとがいないという理由で墓じまいをしたのであれば、新しい形式を取り入れて供養しなくてはいけません。
どのように遺骨を供養し、ご先祖さまと向き合っていくかを考えることが大切です。
おひとりさまは生前に死後の手続きを依頼しておくと安心
自分が亡くなった場合、どのように供養してほしいかは誰かに伝えておかなくてはいけません。
前述した通り、亡くなったときに遺体の引き取り手がいない場合は無縁塚に埋葬されます。
もしかすると、ほとんど会ったこともない遠い親戚が供養の方法に困ってしまうかもしれません。
自分が亡くなった後の手続きを誰かに依頼しておく方法として「死後事務委任契約」があります。
「死後事務委任契約」で自分の埋葬方法をお願いしておけば周りの人が死後の手続きに困らず、自分の希望通りの最後を迎えるため安心です。
おひとりさまのお墓については早めに話し合っておこう!

この記事ではおひとりさまのお墓について考えてみました。
自分のお墓はもちろん、先祖のお墓もどうしたらいいか気になってしまいますよね。
何もせず放置しておくのはよくありません。
自分だけでなく先祖や両親が無縁仏になってしまいます。
最近では新しい供養の方法も選択できるので、早めに話し合っておきましょう。