- 今は若いから「おひとりさま」も楽しいけれど高齢になっても大丈夫なのかな…
- 急にケガや病気で入院が必要になったら誰がサポートしてくれるのかな?
- 大きな決断をする時は保証人を求められるけれどいつまでも親を頼れない…
このような不安やお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私もそのうちの一人です。
転職をしたときに身元保証人を書く必要があった時、何かの手続きをするときに緊急連絡先を記載しなければいけない時にいつも考えてしまいます。

いつまで保証人に親の名前を書けるのかな…
私は、老人ホームや在宅介護でケアマネジャーとして高齢者に関わる仕事に長く携わってきました。
高齢になって頼る人のいない方が身元保証のサービスを利用し、亡くなられたあとの納骨まで誰にも迷惑をかけることなく天寿を全うされたのをみて自分の将来を考えました。
そこで今回の記事では「おひとりさまの老後|身寄りがいないときの身元保証人はどうする?」として、身寄りのいないおひとりさまが心配な高齢になって身元保証人が必要なケースや利用できるサービスを解説します。
将来自分にどのようなサポートが必要になるのか考えてみましょう。
おひとりさまは日本にどれくらいいる?

50歳の時点で一度も結婚したことのない、「50歳時の未婚割合」は年々増加傾向にあります。
1990年では男性5.6%、女性4.3%だったのが、30年後の2020年には男性26.7%、女性17.5%に上昇。
さらに20年後の2040年には男性29.5%、女性18.7%になると予想されています。
(参考:厚生労働省 50歳時の未婚割合の推移)
「おひとりさま」という言葉が流行語大賞にノミネートされた2005年頃は、おひとりさまは自立したかっこいい女性といったポジティブな印象も込められていました。
若いうちは生き方しだいではポジティブに過ごせるおひとりさまも、年齢が上がるとともに頼る人がいない現実に不安が襲ってきます。
結婚していても子どもを持たない方や、離婚する方も増えています。
また、配偶者に先立たれてしまった方や子どもに頼れない方も。
ライフスタイルが変化している現代では、おひとりさまの不安は生涯独身の方だけのものではありません。
高齢化により老後に頼る人がいない不安を抱えている人は多くいます。

女性は長生きなので、最後に一人になる確率は高いですよね
身元保証人とは?

「身元保証人」とは身元を保証する人のことで、若いうちであれば就職の雇用契約時や入院する時に必要です。
就職の際の身元保証人の提出であれば、その人物が社会的に信用のある人物であるかを保証する目的があります。
会社に損害を与えるような事態が起こった場合、代わりに責任を負うのも身元保証人です。
予期せぬ迷惑をかけてしまってもいけないので気軽に人に頼めるものではなく、若いうちであれば両親に頼むのが一般的です。
高齢になって身元保証人が必要な時は?

高齢になってからも身元保証人が必要な場面が訪れます。
どのようなケースがあるのでしょうか。
入院時の身元保証
身元保証人がいないと入院ができないわけではありません。
医師法により、医師は診察治療の求めがあった場合に、正当な理由なく拒んではならないと定められており、身元保証人等がいないことを理由に入院を拒否するのも医師法に抵触するとされています。
(参考:厚生労働省 身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において 入院を拒否することについて)
しかし、多くの医療機関では入院時に身元保証人の提示が求められます。
病院には入院費の支払いの保証や、容体が急変した時の緊急連絡先が必要です。
認知症や病状で意思疎通ができなくなったときに、延命措置などの治療方針を決定できなければ病院側も判断に困ってしまいます。
また、死亡したときの対応も必要です。

身元保証人がいなくても医療機関が入院を拒否できないと法で定められているとはいえ、病院に迷惑をかけたくないですよね。
施設入居時の身元保証
一人暮らしが難しくなり介護施設に入居が必要になった場合も身元保証人の提示が求められます。
高齢者は理解力の低下で、さまざまな場面での判断や金銭管理が困難になります。
施設に入ったからといって、金銭管理や命に関わるような大切な判断は施設のスタッフにお任せできません。
高齢者施設には入居金が高額な施設もあり、基本的には入居時に身元保証人を立てて金銭的な連帯保証をしてもらわなければなりません。
ケガで入院が必要になった時、判断能力が低下してしまった自分に代わって意思決定してもらわなければならないことも。
退去することになった時や亡くなった時には身柄を引き取ってもらう必要もあります。
高齢になって身寄りがいない場合誰に頼ればいい?

身寄りのいないおひとりさまが高齢になったときに誰に助けてもらえばよいのか相談先をご紹介します。
- 日常生活自立支援事業
- 地域包括支援センター
- 成年後見制度
- 身元保証サービス
1.日常生活自立支援事業へ相談する
自治体の社会福祉協議会が窓口である日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な方に対して自立した生活が送れるように福祉サービスの利用や日常的な金銭管理などを援助するサービスです。
判断能力が不自由な方とは認知症の方や知的障害者、精神障害者等を指し、日常生活にサポートが必要になった際に判断が本人のみでは難しい方です。
利用を申し込んだら、事業の内容について判断能力があるかが判定されます。
その後、利用が認められた場合は支援計画を作成し契約を締結します。
利用する際は、自治体が定めている利用料を都度支払う必要があり、1回あたりの料金は1,200円程度です。
社会福祉協議会と契約する判断ができなくなった場合は成年後見制度などの適切な援助につなぐ支援もしてくれます。
2.地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターは、市町村が設置する地域の高齢者の総合的な相談窓口です。
主任ケアマネジャー・社会福祉士・保健師などの多職種が配置されており、さまざまな側面から地域の高齢者の生活を支えています。
地域包括支援センターは、地域の高齢者が住み慣れた場所で生活し続けられるように、高齢者からの相談を幅広く受け付けているので、どこに相談したら良いかわからない場合はまず相談できる場所です。

介護保険を利用したい場合も相談できますよ!
3.成年後見制度を活用する
成年後見制度は判断能力が低下した方の支援をするための制度です。
成年後見人は、お金の管理や契約や手続きなどの法律行為を本人に代わって行います。
後見人は本人の立場の位置付けであり、本人の債務を負うことはなく身元保証人にもなりません。
そのため、高齢者施設に入居するときには別に身元保証人を求められる場合があります。
後見人がついているから全てにおいて大丈夫なわけではないので注意しましょう。

後見人にはできないことを把握しておくことが大切!
4.身元保証サービスを利用
重要な役割を求められる身元保証は遠い親戚や友人がいたとしても気軽に頼めません。
身元保証人を頼める人がいない場合は民間の身元保証サービスが安心です。
身元保証サービスは、賃貸住宅や高齢者施設への入居時や入院時などに身元保証を行ってくれます。
トラブルや債務が滞ってしまった時の連帯保証、緊急時や死後の対応もお願いできます。
ただし、会社によってサービス内容が異なるため必要なサービスが提供されているか見極める必要があります。
公的なサービスと違いまとまった費用がかかる場合も。契約する場合は将来に備えて慎重に選びましょう。
おひとりさまは身元保証人について考え将来に備えておこう

今回の記事ではおひとりさまが高齢になって身元保証人が必要なケースや利用できるサービスを解説しました。
高齢になって誰かに助けてほしい時には介護保険サービスを使ったサポートや、公的な窓口に相談するとさまざまな支援が受けられます。
また、民間でも充実した内容の身元保証サービスが提供されています。
自分で誰かに相談できるうちは大丈夫ですが、判断能力が低下してしまったときや亡くなってしまった後のことも考えておくことが大切です。
この記事が、おひとりさまが豊かな将来に備えるためのきっかけになると幸いです。