

僕が親に直接説明しなくても、この解説を見せればOKってことですね!?
優しいな〜、ポジ仙人は。

ただ、まだまだ若いとは言え、ネガ男くんも子どもを持つ立派な父親じゃろ?
そういう意味ではネガ男くんにとっても他人事ではないと思うがの〜。

そう考えたら僕に何かあったときはもちろんだけど、嫁さんに何かあったときのことも考えておかなくちゃいけないのか。
あぁ……何だか急に嫌になってきた……。

前回ちゃんと理解することができていたんだから大丈夫じゃよ。
もう一度復習するくらいの気持ちでちょうど良いはずじゃ。
「親が亡くなったら誰が相続人になるの? 法定相続人の優先順位とは」では、子どもの立場から見た法定相続人について解説いたしましたが、今回は親の視点から見ていきましょう。
「法定相続人」とは、法律(民法)で定められた相続権を有する人のことです。
ちなみにあなたは今、この記事をどのような経緯でお読みいただいているでしょうか?
- 自分にもしものことがあたっときに誰が相続人になるのか知っておきたい
- 遺言書を書く上で、まずは法定相続人について理解しておきたい
- 遺産を渡したくない人がいて、その人が法定相続人なのかどうか知りたい
などなど理由はさまざまかと思いますが、遺産相続を考える上で法定相続人が誰なのか把握することは基本中の基本となりますので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
今回は法定相続人の仕組みを分かりやすく解説するために、下記の家族構成図を用いながら解説していきたいと思います。
法定相続人は「配偶者」と「1位〜3位の中で順位が一番上の人(たち)」です

まずひとつは配偶者がいるかどうか。
そしてもうひとつは子ども、親、兄弟姉妹で一番近い人は誰なのか? ということじゃ。
それさえ分かれば法定相続人を把握することはカンタンじゃからの〜。
無条件で法定相続人になる「配偶者」
まず、あなたに配偶者(夫または妻)がいた場合には、その人は無条件で法定相続人になります。

「なるほど〜。でも、自分は一度離婚して今のパートナーと再婚したんだけど、前妻(前夫)も法定相続人になるのかな?」
と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、離婚した時点で婚姻関係がなくなるため、相続権も同時になくなっています。
ただし、前妻(または前夫)との間に子どもがいた場合は、その子どもには相続権がありますので、その点だけ覚えておきましょう。
また、たまに「配偶者がすべて相続できる」と思い込んでいる方もいらっしゃるのですが、そういうわけではありません。
実際は「配偶者と誰か」が法定相続人となるのです。
※ただし、子どもも親も兄弟もいない場合は配偶者がすべて相続することになります。
では、その「誰か」はどのようにして決まっているのでしょうか?
それは配偶者を除く親族で1位〜3位までの順位が定められており、その中で順位が1番上の人だけが法定相続人となるのです。
逆に言えば、順位が1番上の人しか相続人にはなれないということでもあります。
※遺言書がある場合は別ですが、ここではひとまず法律で定められた相続人についてのみ解説します。

これだけ覚えておけば、まずはOKなんですね!
あとは1位〜3位の順位を覚えられれば法定相続人を把握できるっていうことか。
子どもである僕は何番目になるんだろう?
法定相続人の第1順位は「子ども」
配偶者以外の親族で、もっとも順位が高いのは、あなたの「子ども」になります。

例えばこの図で見ると、あなたが亡くなった場合、法定相続人は「配偶者である夫または妻」と第1順位である「子ども」ということになります。

あなたの親や兄弟姉妹には相続権はありません。
では、すでに配偶者がなくなっていた場合は、あなたの子どもだけでなく、親や兄弟姉妹が相続権を持つことになるのでしょうか?

実際、そうはなりません。
この時は第1順位である子どもがいるため、子どもだけが法定相続人となります。

配偶者がいないからといって、2位の人が法定相続人になるわけではないんですね。
このケースでもし子どもが一人っ子であれば、基本的にはすべての遺産を子どもが相続することになります。
多くの人はこれを理解しておけば大丈夫かもしれませんが、例外も出てきます。
例えばあなたの子どもの中で誰かがすで亡くなっていて、その子どもに子ども(あなたから見ると孫)がいた場合です。

この場合、相続権は孫に引き継がれることとなり、これを「代襲相続」といいます。

その他にも先ほど配偶者のときに説明した「前妻(または前夫)との間に子どもがいる場合」は、その子どもも法定相続人となります。
また、婚姻関係はなくとも、配偶者以外との間にできた認知した子(愛人との間にできた子など)がいた場合も法定相続人となります。
もしも、ご家族に内密にしている子どもがいらっしゃるのであれば、早めに打ち明けられるか、せめてきちんとした遺言書を残されることをオススメします。
※もちろん隠し子がいなくても遺言書を作成しておいた方が良いでしょう。
あなたの死を悲しんでいる矢先に「実は隠し子がいた」ということが発覚すれば、残される家族にとってプラスになることはないどころか、ほぼ確実に揉めることになるからです。
家族のトラブルを最小限にするためにも、できることは早めに対応しておきましょう。

で、僕が亡くなった後に妻が亡くなったら子どもだけが法定相続人になる。
なるほど、分かって来たぞ〜。
隠し子がいるパターンは少ないかもしれないけど、離婚して再婚している人は多いだろうから遺言書をちゃんと残しておかないと何かとトラブルになりそうですね。
法定相続人の第2順位は「親または祖父母」
もしあなたに子どもがいなかったらどうなるのでしょうか?

その時に登場するのが第2順位の「親または祖父母」です。

親または祖父母の内、亡くなった人に近い人が法定相続人となることになっています。
両親がすでに死亡しているものの、祖父母がいる場合は祖父母が、親も祖父母もいる場合は親が優先されることになります。
もちろん配偶者がいる場合は「配偶者と親(もしくは祖父母)が法定相続人」ということになります。
なお、この場合は配偶者と親の関係性によっては相続争いに発展することもあるため、注意が必要です。

じゃあ、僕の弟はまだ結婚もしてないし子どももいないから、もし弟が亡くなってしまったときは僕の親が相続人になるってことか。
それに比べて僕の両親は僕らがいるから、おじいちゃんやおばあちゃんは法定相続人にならないってことですね。
法定相続人の第3順位は「兄弟姉妹」
もしも、あなたに子どもがおらず、両親もすでに他界していた場合はどうなるのでしょうか?

その時に登場するのが第3順位の「兄弟姉妹」です。

もしも兄弟姉妹がすでに亡くなっていた場合は、その子どもが相続人となります。
もちろん配偶者がいた場合には「配偶者と兄弟姉妹が法定相続人」ということになります。
ただ、これも相続争いに発展することもあるので注意が必要です。
なぜなら最近は「田舎から離れて暮らしていて、配偶者が自分の兄弟姉妹と交流がほとんどない」というケースが増えているからです。
「夫が亡くなって悲しいだけじゃなく、今後の生活のことも不安なのに……。遺産の一部をそれほど仲良くない兄弟姉妹に渡すなんてイヤ!」
ということがあり得るからです。
当事者同士の話し合いで解決できるのであれば何の心配もありませんが、現実はそう甘くはありません。
たとえばあなたに現金や預金がほとんどなく、不動産しか遺産がない場合は、配偶者が不動産を相続したものの、兄弟姉妹の法定相続分を現金で支払わなければいけないこともあり得るからです。
※もちろんこれは兄弟姉妹だけでなく、親との間であっても起こり得ることです。
お子さまがいらっしゃらない方は、その点も考えた上で早めに遺言書を作成されることをオススメします。

それにしても嫁さんと弟や親が争うなんて想像したくもないなぁ〜。
そういう自体にならないように、ちゃんと事前に準備するってことが大切なんですね。
まとめ
今回は、あなたにもしものことがあったときに、誰が法定相続人になるのかをご紹介しました。
法定相続人をまとめると、以下の図で覚えておくと良いでしょう。

しかし、何も法律で定められているからと言って、それ以外の人が相続できないというわけではありません。
また、法定相続人だからと言って必ずしも相続しなければいけないかと言うと、そういうわけではありません。
これに関しては遺言書があるか、ないかが大きな違いになってくるため、必要性を感じられている方は早めに準備をしましょう。
「【タメになる】「遺言書を書く」と言っていた父が結局書けずに亡くなってしまった理由」でも紹介している通り、亡くなる直前になって遺言書を書くというのは現実的ではないからです。
さて、次回は法定相続人の取り分となる「法定相続分」を学んでいきましょう。

たとえば僕の父にもしものことがあったときは、母親と僕と弟が法定相続人になるってことですね。
で、もし独身の弟にもしものことがあったら、僕の親が法定相続人になる。
もしその時に両親も祖父母も亡くなっていたら、僕が法定相続人になる。
これで両親にも上手く説明することができそうです!
あとはそれぞれの取り分ですよね。
法定相続人はカンタンだったけど、法定相続分もカンタンに理解できるものなんでしょうか……?

たしかにご両親にも説明できるかもしれんの。
ただ、本当にちゃんと説明したいんであれば法定相続分についても理解しておきたいところじゃの〜。
大丈夫。法定相続人が分かれば法定相続分もすぐに理解できるはずじゃよ。
法定相続分については「相続を争続(争族)にしないために知っておきたい法定相続分とは?」をご覧ください。