「私の趣味はこれ!」と言えるような趣味はお持ちでしょうか?
趣味のある人生と趣味のない人生。
どちらがいいかと聞かれれば、やっぱり「趣味のある人生」がいいですよね。
とは言え、「一生涯の趣味」となると、なんだかハードルが高そうな気がします。
ちなみに博報堂が行った調査結果によると、「自分は無趣味な方である」と答えた人は25.0%、実に4人に1人もいたそうです。

出典:【博報堂生活総合研究所「生活定点」調査】より
また、同社の別の調査結果では「一生を通じて楽しめる趣味を持っている」と答えた人は35.0%、約3人に1人しかいなかったそうです。

出典:【博報堂生活総合研究所「生活定点」調査】より
あなたはいかがでしたか?
「一生涯の趣味なんてないし、どうしよぉ……」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は誰もが一生涯の趣味にできることがあります。
それが「読書」です。
むしろ読書以外で、これほど万人が趣味にできるものは無いと言ってもいいかもしれません。
「一生涯の趣味」にできる条件とは?
「一生涯の趣味」というくらいですから、60代でも70代でも続けられるものでなくてはいけませんよね。
そう考えると以下の3つがポイントになるのではないでしょうか?
- あまりお金がかからない
- あまり体力を必要としない
- ずっと続けられる(終わりがない)
また、ある程度までレベルが上ったら飽きてしまうような物も一生涯の趣味としては不向きですよね。
この3つのポイントをひとつでも満たしていることが望ましいのですが、読書はこれらをすべて「高度なレベル」で満たしています。
ひとつずつ見てみましょう。
1. 読書はあまりお金がかからない
「月1万円くらいの趣味でオススメある?」
ネット上でも、たまにこんな言葉を見かけます。
月に1万円「も」かけられるなら確実に「読書」がオススメです。
本の価格は大体1,000円〜2,000円くらいなので、1万円もかけられるのであれば1ヶ月に5冊〜10冊くらいの本を読むことができる計算になります。
ところが月に10冊の本を読もうと思うと、意外と大変ですよね。
数時間で読めるものもあれば、数日〜数週間かけてじっくり読むものもあります。
また、古典などは数年かけて何度も何度も読むことで、理解が深まっていくものさえあります。
ちなみにあなたが1ヶ月に読む本の数は何冊くらいでしょうか?
多い? 少ない? 日本人の平均読書量
文部科学省の調査によると、日本人が1年で読む平均読書量は12、13冊だということが分かっています。
月に1冊くらいのペースですね。
また、他にはこんなデータもあります。
- 月に3冊読めば上位20%に入る
- 月に6冊読めば上位10%に入る
- 月7冊以上読めば上位4%に入る
月に本を7冊読むだけで、日本人の上位4%に入るということになります。
もちろん読書は冊数が多ければ良いというものではありませんが、「月にたった1万円の趣味で日本人の上位4%に入れる」と考えたらちょっと嬉しい気持ちになりませんか?
2. 読書はあまり体力を必要としない
読書は基本的に体力を使いません。
頭はフル回転するので疲れはしますが、スポーツのような体力の消耗とは異なります。
実際、リラックスや気分転換のために本を読む、という人も多いですよね。
また、肉体は年齢と共に衰えていきますが、脳は死ぬまで鍛えられることが最近の脳科学研究で分かっています。
※ちなみに筋肉も年齢に抗える数少ない体組織ですので、運動を趣味にされるのであれば筋トレがオススメです。
そして、脳を鍛えるための最適な方法が「読書」なのです。
読む、理解する、自分なりに咀嚼する、現実世界と照らし合わせてみる、また考える。
読書を通してこの体験を繰り返すことで、どんどん思考が深まっていくのが実感できます。
また、読書は時間と場所を選びません。
本さえ持っていれば、いつでもどこでもできます。
家はもちろん、カフェ、電車の移動中、ちょっとした待ち時間など、スキマ時間が見つかったらチャンスです。
迷わず本の世界に飛び込みましょう。
3. 読書には終わりがない
何事にも「終わり」というものはありませんが、ぼんやりとゴールらしきものが見えると、飽きてしまうのが人間という生き物ものです。
そのため、「一生涯の趣味」として考えたときに、ある程度のレベルまですぐに到達できてしまうものは不向きです。
例えば習い事を始めてみたものの、ひと通り習得したら辞めてしまった、という経験は誰もがお持ちだと思います。
ところが本の世界は物理的に終わりがありません。
まずジャンル数が膨大です。
文学やビジネス書、歴史や政治、アートや人文など、挙げればキリがありません。
また、それぞれのジャンルごとに、これまた膨大な数の本があります。
日本書籍出版協会が運営するBooks.or.jpのデータによると、日本国内で出版されている本は約98万点だそうです。
※2018年3月時点のデータを参照
生きている間に「読めない本」の方が圧倒的に多い
人間の寿命が80年だとすると、日数に換算するとたった3万日ほどしかありません。
つまり、私たちは1日1冊の本を読んだとしても、世の中にある本のほんの一部しか読むことができないということです。
人生で3万冊読めたとしても、全体のたった3%です。
実際には0.1%(約1,000冊)にも満たない人がほとんどではないでしょうか。
さらに、世界の書籍数を見てみると、さらに圧倒的な数字になります。
少し古いデータですが、2010年にGoogle社が行った調査によると、世界の書籍数は1億2986万4880冊だったそうです。
「世界の全書籍の数」:Googleはどう数えたのか|WIRED.jp
Google Booksによると、世界に存在する全ての本の数は1億2986万4880冊だという。
まさに途方もない数字ですね。
いかがでしょうか?
これが「本の世界」なのです。
この事実を理解した上で、読書を楽しみはじめると、「時間がいくらあっても足りない」という意識に変わります。
それまでは「人生ってムダに長いし、暇だなぁ」と思っていたら、いつの間にか「人生って短すぎる」と考えるようになるのです。
きっとその時には、中島敦さんのこの言葉の真意が掴めるでしょう。
人生は何事もなさぬにはあまりにも長いが、 何事かをなすにはあまりにも短い。
また、この意識を手に入れると「読む本」にも変化が生じてきます。
すべての本を読むことは不可能なので、1冊1冊がとても貴重なものに感じます。
「限られた時間の中で、今回は何を読もう」
この気持ちがさらに読書体験を高めてくれるのです。
そして本の世界にハマればハマるほど、「1日でも長く元気に生きていたい!」という気持ちが沸き上がってきます。
その結果、自然と普段の生活にやる気がみなぎってきて、すべてのことが上手く進められる。
一生涯の趣味を持つことは、最高の終活と言えるかもしれません。
本を読むか読まないかで人生は大きく変わる
本を読む習慣のない方にはピンと来ないかもしれませんが、これは紛れもない事実です。
それを表す分かりやすくて面白くい風刺画があります。
それがこちらです。

本をまったく読まない人が見ている世界
一番左の本を読まない人に見えている景色は、目の前にあるお花畑です。
このお花畑は「表面上の世界」を意味しています。
例えばテレビやネットニュースばかりの情報だけを見て、「これが現実なんだ」と思い込んでしまっている人なんかは分かりやすい例ではないでしょうか。
本をそれなりに読んでいる人が見ている世界
続いては真ん中の人です。
この人は本を読むことで、見える世界が変わりました。
表面上のお花畑ではなく、どこか暗い世界を見ています。
この人は「光があれば、そこには闇もある」ということを知っている人です。
現実をしっかり認識することで、自分に都合の良いことだけを見るのではなく、全体を俯瞰した上で物事を考えることができます。
本をたくさん読んでいる人が見ている世界
最後はたくさん本を読んだ人です。
この人が見ているのは晴天の青空です。
表面上の世界、そして光と闇の現実世界を知った上で、それらも乗り越えて、素晴らしい景色を堪能しています。
仏教用語で言えば、「悟り」を開いた状態と言えるのではないでしょうか。
このように本を読めば読むほど、「世界の見え方」というものが変わってきます。
短い人生において自分ひとりでできることはたかが知れていますが、本という他人の知恵や経験を取り入れられるツールを上手に活用できれば、この絵のように階段を登っていけるのです。
それと同時に、「本を読まずして、この景色を見ることはできない」ということも教えてくれています。
ジャンクフード化した情報が溢れた世の中
日本では近代化とともに食文化も大きく変わり、街にはジャンクフード店が乱立しています。
ジャンクフードは化学調味料などの影響で脳が「美味しい!」と錯覚してしまうため、お金を払ってまで体に悪い物を食べるという人が増えてしまいました。
お酒やタバコ、ドラッグなど、人間は体に悪い物ほど夢中になってしまうようにできているんですね。
その結果、栄養バランスは崩れ、体内に毒素が溜まり、免疫力が低下して病気になりやすくなるという悪循環に陥っています。
とくに成長期の子どもがジャンクフードばかり食べていたら、成長や健康を阻害してしまうというのは周知の事実だと思います。
あなたが取り入れている情報は良質? それともジャンクフード?
実は今、それと同じことが「情報」においても起こっています。
近年ではインターネットの普及と発達により、ジャンクフードのような情報がたくさん生まれています。
さらにSNSの普及により、それらの情報はまたたく間に拡散され、人から人へと伝わっていきます。
それらの情報の多くは「読んでも自分の人生が豊かにならない無価値な情報」であることがほとんどですが、それでも多くの人は「面白い」や「楽しい」という誘惑に負けて時間を消費してしまいます。
やっぱり人間は体や脳に悪いものに夢中になってしまうんですね。
ところが、そんな情報ばかりを取り込み続けていると、考え方や価値観というものがまったく育ちません。
その結果、ちょっとした困難にぶつかった時に、その壁を乗り越えることができなくなってしまうのです。
そして多くの場合、人は「悪いのは自分じゃない。悪いのは周りの人間だ」と、自分を守り、他人を攻めるという行動を取ってしまいます。
もしかすると、あなたの周りでも思い当たる人がいらっしゃるのではないでしょうか?
良質な情報が得られるのは、やっぱり本
まずはこの事実に気づくことが大切です。
それに気づいた上で本を読めるようになれば、得られるものがたくさんあります。
むしろ得られるものが多すぎて、本の価格が「安すぎる」と思えるようになるはずです。
本というのは不思議なもので、同じ本でも何回読んでも楽しめますし、読むタイミングや自分の価値観の変化によって、本から学びとれることが毎回変わります。
「前回は気にも留めなかった言葉が、今回はすごく刺さった」
こんな体験は日常茶飯事です。
また、何かに悩んだ時は、大抵のことは本を読めば解決します。
なぜなら、あなたが抱えている悩みはすでに他の誰かが経験し、何かしらの方法で乗り越えてきた場合がほとんどだからです。
もちろん物理的な解決はしない問題もあるでしょう。
例えば病気になってしまい、それを治すことは不可能な場合もあります。
しかし、その状況でもできることはたくさんあります。
症状を和らげたり、進行を遅らせたりすることができるかもしれません。
また、もしかするとあなたが身につけた知恵が、同じ病気で苦しんでいる人を救ったり、病気になるのを防ぐことに繋がるかもしれません。
そのための知恵や考え方はすべて本から得られるのです。
もちろんすべての本が絶対的な価値を持っているわけではありません。
中にはネットで無料で読める記事の方が価値があることも多々あります。
大切なのは、膨大な数の本の中から「人生を豊かにしてくれる一冊」と出会う目と感覚を育むことです。
読書が一生涯の趣味になる人がひとりでも増えますように。
本日も「ポジティブ終活」に来てくださってありがとうございました。