「はい」「もちろん」「みんなに自慢したいくらい」
そう答えてくださる方がたくさんいると嬉しいです。
でももしかすると、それとは真逆の答えや、「う〜ん、不幸ってことはないんだけど……」とすぐに答えられなかった人もいるかもしれません。
なぜなら国連が調査している世界幸福度ランキングで、2017年の日本は51位という順位だったからです。
※それでも2016年から順位を2つ上げています。
「え? 日本って世界的に見たら豊かで安全に暮らせる国なのに51位っておかしくない?」
そう思われたかもしれません。
たしかに経済や治安の面から見たら日本は世界でもトップと言えるほどの「良い国」であることは間違いないでしょう。
しかし、それが必ずしも「幸福」とイコールになるわけではないようです。
もちろん幸せのカタチは人それぞれなので、一概にこの結果を受けて「日本人は幸せではない」と決めつけられた訳ではありません。
私たちが目を向けたいのは、「幸福度が高い国の人たちは、一体どんな人たちなんだろう?」ということです。
それを知ってみて、「この考え方はいいな」と感じたら、それを取り入れてみれば私たちの幸福度も変わってくるかもしれないからです。
今よりもっと幸せな時間が増えたら嬉しいですよね。
さて、「幸福度」という視点から、近年注目を集めている国があります。
それが世界幸福度ランキングでほぼ1位を独占しており(2015年のみ3位)、「世界一幸せな国」とも言われている「デンマーク」です。
ちなみに、あなたはデンマークと聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?
コペンハーゲンの美しい街並み、レゴ(LEGO)、税金が高い、教育や福祉が充実している……などが定番のイメージかもしれません。

近年は「北欧ブーム」と言われるほど、北欧の国々の雑貨やインテリアなどが話題になったので、「そのうちの国のひとつ」というくらいの方もおられるかもしれませんね。
そんなデンマークですが、「世界一幸せな国」と言われるのには秘密があったんです。
それが今回ご紹介する「ヒュッゲ(Hygge)」です。
このヒュッゲという文化、価値観があるからこそ、デンマークの人たちは幸せなのだそうです。
でも、ヒュッゲという読み方が難しいのと同様に、この言葉の意味を理解するのは簡単なことではありません。
なぜなら日本語で例えれば「わび・さび」のような感覚的な言葉だからです。
しかし、その感覚的な言葉を私たち日本人向けに分かりやすく解説してくれている本がこちらです。
もしヒュッゲに興味を持たれたら、ぜひこちらの本を読まれることをおすすめします。
また、電子書籍版もありますが、ぜひこの本は紙でお読みいただきたい一冊です。
なぜなら本の色合いや手触り、香りから「ヒュッゲ」を少しだけ感じることができるからです。
「ヒュッゲ(Hygge)」は欧米で一大ブームに
日本では毎年「新語・流行語大賞」が発表されていますが、イギリスでもその年の流行語が発表されています。
そして、2016年の流行語大賞の最有力候補だったのが、この「ヒュッゲ(Hygge)」だったのです。

最終的に大賞には「Post-truth」という政治的な意味を持つ言葉が選ばれました。
ただ、2016年のイギリスと言えば、EU離脱があったり、イギリスに大きな影響を及ぼすであろうトランプ米大統領が当選するなど、政治のインパクトが強かった1年だったことを考えると致し方ないのかもしれませんね。
また、そんな激動の変化があったイギリスの人々の心を癒やしたのがヒュッゲだったのかもしません。
このヒュッゲの人気はイギリスだけに留まらず、他のヨーロッパ諸国はもちろん、アメリカへまで飛び火して今や一大ブームとなっています。
そして日本でも少しずつこの言葉が知られるようになり、最近ではテレビでも特集されるなど、注目が高まってきています。
一言では言い表せない「ヒュッゲ」
ヒュッゲが何なのかを一言で表す、もしくは伝えるのはとても難しそうです。
本を読んでいても、「これがヒュッゲ」という固定の表現があるわけではありません。
- 誰かと何かを一緒にしたときに生まれる、あたたかい気持ちのこと
- 人との温かいつながりをつくる方法
- 大好きな人と一緒にいること
- 心の安らぎ
- 不安がないこと
- お気に入りのものに囲まれて過ごし幸せ
- 心地よい一体感
- キャンドルのあかりのそばでココアを飲むこと
- 家に帰ってきたときのホッとする感じ
- 外の世界から守られているという安心感
これらすべてがデンマークの人たちにとっては「ヒュッゲ」なんだそうです。
何となくイメージはできる、でも言葉にするのは難しい。
「言葉で説明しようとすること」がすでにヒュッゲではないのかもしれませんね。
日本人の幸福度が低い理由がここに?
この本の中では、そのヒントとなるような興味深い情報が紹介されていました。
それは、アメリカのプリンストン大学でノーベル賞受賞者の心理学者「ダニエル・カーネマン博士」が率いるグループが2004年から行った研究結果です。
被験者はテキサス州の909人の女性。
彼女たちは毎日の生活を細かく振り返て記録し、それぞれの出来事を「楽しかった」「不安に思った」「落ち込んだ」を7段階で評価していきます。
その結果を「幸福度が高かった順」に並べると以下のようになったそうです。
出典:ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方 57ページより
まずは下の方に目線を落とし、ワースト3を見てみてください。
- 仕事へ行く
- 仕事
- 仕事から帰る
仕事に追われがちな日本人の幸福度が低い理由がこの辺りにありそうな気がしてきませんか?
逆にデンマークでは週37時間労働が法律で決められており、6週間の有給を取る制度があるなど、日本人とは真逆のワーク・ライフ・バランスです。
また、当たりまえですが、仕事が忙しいとプライベートの時間が少なくなってしまいます。
そうすると幸福度の高い「大切な人と触れ合う時間」が減ってしまいます。

運動する時間を取りたくても取れていない人も多いでしょう。
「お金は人より持っている。でもいつも忙しく働いていて、なんだか幸せそうに見えない」
もしかすると、あなたの周りでもそんな方がいらっしゃるのではないでしょうか?
また、もしそれがあなたの家族や大切な人、はたまたあなた自身だったら……。
ヒュッゲの世界を覗くことで、そんな状況が少しでも変わるかも? しれません。
ヒュッゲを体験するにはどうすれば良い?
本を読むにつれて感じるのは、「デンマークでしばらく過ごしてみなければ本当のヒュッゲは体験できそうにない」ということです。
冬はスキーに行って小屋でまったりしたり、少し暖かくなったら外でBBQをしたり。
夏はピクニックをしたり、野外で映画を観たり。
その季節によっていろんな形の「ヒュッゲ」があるそうです。

中でもヒュッゲの雰囲気が一番高まるのがクリスマス。
そう考えると、一度旅行で行っただけでヒュッゲを味わい尽くすのは難しそうです。
また、ヒュッゲは1人ではなく誰かと一緒に共有するもの。
いち旅行者がいきなりデンマークの人たちの輪に溶け込むのも難しいでしょう。
ただ、この本を読むことで何だかヒュッゲが少しだけ身近になった気がします。
知識ではなく追体験を通してヒュッゲを感じられる気がするのです。
また、東京や関西圏にお住まいの方であれば、ヒュッゲな雰囲気を味わうチャンスがあるかもしれません。
この本を日本語版に翻訳するにあたり、解説者として携わっているのが、フラワーアーティストとしても有名なニコライ・バーグマン氏がプロデュースするカフェが東京の南青山と兵庫県の神戸市にあるからです。
この本を読んでからカフェに訪れると、ヒュッゲな時間を過ごすことができるかもしれませんね。
ニコライ・バーグマン氏については、このフラワーボックスで有名な方と言えばピンと来る方も多いのではないでしょうか。
本を読んで興味を持った方は、ぜひ彼のお店やカフェへ訪れてみてはいかがでしょうか?
ヒュッゲと終活
ヒュッゲと終活なんて関係ないでしょ?
そう思われるかもしれません。
たしかに終活を「自分が亡くなったときのための準備」とだけ考えるとそうかもしれません。
実際、ある調査では「終活をしている or したい理由」として70%以上の人が挙げたのが「家族に迷惑をかけたくないから」でした。
ちなみにこの答えは2位の「病気やけがなどで寝たきりになったりした場合に備えて」(40%)や、「自分の人生の終わり方は自分で決めたいから」(31%)に圧倒的な差をつけています。
何とも真面目な日本人らしい考え方ではないでしょうか。
「これぞ日本人の美徳」と言えるかもしれませんね。
日本では「人様に迷惑をかけるな」という言葉もありますが、それは家族ではなく他人の話です。
家族であれば多少の迷惑をかけたって良いような気がするのですが、いかがでしょうか?
だってかけがえのない家族なのですから。
だからこそ当サイトでは「亡くなるときの準備」としての終活よりも、「終末期を活き活きと生きる」ための終活が大切だと考えています。
そしてそのために今私たちが知るべき価値観のひとつが「ヒュッゲ」なような気がするのです。
「自分の幸せな時間を増やしたい」や「親の幸せな時間を増やしてあげたい」と感じているすべての人に読んで欲しい一冊です。
ヒュッゲは私たちにどんなメッセージを届けようとしてくれているのか。
ぜひあなたもこの本を通して、ご自身の五感で確かめてみてください。
本日も「ポジティブ終活」に来てくださってありがとうございました。