親と相続税について話し合う時は「二者択一話法」を使うと良い話し合いができる可能性がアップします

ポジ仙人
ネガ男くん、これまで相続税について勉強してきてもらったが、ご両親と相続対策についての話し合いは進んでるかの〜?
ネガ男くん
ポジ仙人……。実はそれが全然なんです……。

この前、父親に「もしお父さんが亡くなったら相続税って払うことになるの?」って聞いてみたんですが、「ん? さぁ、どうかな〜」って話をはぐらかされちゃって。

せっかくこっちから聞いてあげたのに話が全然進まないんですよ。

その時になって苦労するのは僕の方なんだから、こっちの身にもなって欲しいですよね!

ポジ仙人
そうかそうか。それは残念じゃったのう。

ただ、もしかするとその時のネガ男くんの聞き方を少しだけ工夫していたら、結果は変わっていたかもしれんぞ?

ネガ男くん
えっ! 僕の聞き方に問題があったってことですか!?

そんな〜。

僕は率直に聞いただけなのに……。

ポジ仙人
ホッホッホッ。

そこまで自分を責める必要はないがの〜。

まず大前提として、お父さんが自分が相続税の課税対象者かどうか知らなかった可能性もあるじゃろ?

ネガ男くん
あっ! たしかに!

僕はポジ仙人に教えてもらったから知ってますけど、相続税の課税対象者かどうかは「基礎控除額」と「総資産」が分からないと判断できないんでしたよね。

でも、それならそれで「分からない」とか「知らない」って言ってくれたら良いのに。

ポジ仙人
たしかにそう思うかもしれんが、そう簡単な話でもないんじゃよ。

中には子どもに対して「分からない」とか「知らない」と言うのは、プライドが許さん人もいるじゃろう?

ネガ男くん
あ〜、僕の父親の場合そうかもしれないですね。

だからはぐらかされちゃったのかな〜。

ポジ仙人
そうかもしれんの〜。

親子に限らず会話というのは「相手に配慮した言葉選び」がとても大切なんじゃ。

「家族なんだから気遣いはいらない」と思うかもしれんが、家族だからこそ配慮をしないと本音が聞けない場合も多いんじゃよ。

ふだん家族で本音で話し合う場が少ない人も多いからの〜。

ネガ男くん
たしかに僕の家も家族会議なんてほとんどしてないもんな〜。

話し合いっていうより、親に上から目線でものを言われてイラッとして話にならないみたいな……(苦笑)

もちろん逆のパターンもありますしね。

ポジ仙人
そうじゃろう、そうじゃろう。

とくに日本は「たとえ家族であっても、お金の話はタブー」という考え方もあるからの〜。

だからこそより一層の配慮が必要なんじゃよ。

そこで大切になってくるのが「会話が広がる質問の仕方」なんじゃ。

ネガ男くん
へ〜、そんな質問の仕方があるんですね。

それを活かせば僕も父親と話し合えますかね?

ポジ仙人
それはネガ男くんとお父さんとの関係次第じゃが、ネガ男くんの場合は大丈夫じゃろう。

今回紹介する「二者択一話法」を意識して、もう一度お父さんと話し合ってみてはどうかの〜。

あなたにとって、またあなたのご家族にとって、「何でも話せる相手」は誰でしょうか?

もしそれが「家族」であれば、それはとても素晴らしいことですね。

なぜなら家族は一番身近な存在。

辛いことや悩みがあっても、身近な家族が心の支えになっているのであれば、いろんな壁も乗り越えやすくなりそうです。

ところが、中にはそうでない人もいるでしょう。

むしろ日本の場合、そうでない人の方が多いかもしれませんね。

家族だからこそ真面目な話をするのがこっ恥ずかしかったり、ぎこちなかったり……。

あの目に見えない壁は一体何なのでしょうか。

ただ、その壁が分厚いままにしておくと、人生の節目節目で大変な思いをしてしまう場合があります。

そのひとつが、「相続」です。

相続税の申告手続きは手間もお金もかかります

以前、「相続税の課税対象者かどうかが簡単に分かる「基礎控除額」の計算方法」で紹介した通り、亡くなった方の遺産総額が基礎控除額を超えていた場合、相続税の申告が必要になります。

ただし、申告が必要だからと言って、必ずしも相続税を払わなければいけない訳ではありません。

なぜなら基礎控除以外にも人によって使える控除があるためです。

ただ、それらの控除制度を利用してもなお超過した金額については相続税が課税されますので、期限内に申告はもちろん納付までしなければいけません。

ちなみに期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内ですので、時間がたっぷりあるというわけでもありません。

さらに相続税は現金一括での納付が基本になりますので、人によっては「せっかく親の不動産を相続したのに、相続税が払えないから不動産を売るハメになった」という悲しい事態に陥ってしまうケースさえあるのです。

また、相続税の申告や納付を経験されたことのある方はお分かりいただけると思うのですが、相続税の納付をせずに済んだとしても、申告手続きだけもなかなか大変な作業です。

大切なご家族を亡くした悲しみに暮れていたくても、申告期限は待ってくれません。

必要な書類を集めたり、遺産の分割方法を話し合ったり、申告手続きを依頼する税理士さんを探したり。

やるべきことは盛りだくさんです。

もちろん税理士さんに依頼すれば報酬も支払わなくてはいけませんし、何かとお金や時間がかかるのが相続税の特徴でもあります。

ご家族に少しでも多くの遺産を残すことはもちろんですが、そういった観点からも資産総額を把握した上で生前の相続税対策をすることは、とても大切なのです。

例えば相続税対策としてできることの一例を見てみましょう。

相続税対策でできること

  • 生前に資産を基礎控除額以下に減らせそうであれば減らしておく
  • 不要な不動産などを売却して現金などの金融資産に変えておく
  • 資産の一部を子どもや孫に生前贈与する
  • 生命保険の非課税枠を利用する
  • お墓を買う
  • 子どもが相続する予定の家をリフォームする

などなど

これ以外にも意図的に相続税の課税対象者にならないようにしたり、相続税額を減らす、もしくは相続手続きをシンプルにするための施策はあるのですが、これらの対策は基本的に親御さんが生前の間にしかできません。

また生前贈与は、亡くなる3年以内に法定相続人に対して行われた贈与については相続財産とみなされてしまうこともあり、「対策を始めるのは早ければ早いほど良い」というのが相続税対策の基本中の基本でもあるのです。

相続税なんてお金持ちの家の話?

かつて相続税は「資産の多い人だけのもの」と考えられていましたし、確かにそれに近いものがありました。

実際に2014年に相続税の課税対象だった人を見てみると、その年に亡くなった方のうち4.4%(約23人中1人)しかいません。

ただ、ここで2014年のデータをご紹介したのには深い意味があります。

翌年の2015年。

ここで事態が大きく変わる出来事があったからです。

それが2015年に行われた相続税の大きな税制改正です。

この税制改正の中で、もっとも大きな変化と言えば「基礎控除額が大幅に引き下げられたこと」です。

ここでは詳しい解説は避けますが、基礎控除額の最低ラインが6,000万円から一気に3,600万円まで引き下げられたのです。

例えば同じ総資産5,000万円の人がいたとしましょう。

この方が2014年までに亡くなった場合は非課税でした。

ところが2015年以降に亡くなった場合、資産額は変わっていないのにも関わらず、相続税の課税対象になってしまうかもしれないのです。
※基礎控除額は法定相続人の人数によって増えるため、必ずしも課税対象者になるというわけではありません。

その結果、これまで相続税とは無縁だった人たちが、ある日突然、課税対象者となり、ご本人やご遺族が慌てて対応を迫られるというケースが増えてきています。

この影響はとても大きく、2014年から2015年で見ると、相続税の課税対象者の割合は一気に2倍に増えました。

詳しくはこちらにまとめています。
【12人に1人】2015年に相続税の課税割合が「4.4%→8.0%」と2倍に急増! その原因とは?

8%と聞くとまだまだ少ない印象をお持ちかもしれませんが、これはあくまでも全国平均の数字です。

また、近年では2020年の東京オリンピックやアベノミクスの影響が相まって、東京を中心とした都市部の不動産価格が高騰しているため、東京や大阪などの都市部だけで見ると課税対象者はかなり増えていると言われています。

さて、ここで多くの方がこう思われたことでしょう。

「ウチの親は課税対象者になるんだろうか? もし、なるなら早めに対策をしておきたいなぁ」

気になったあなたは親御さんに尋ねてみたものの、なかなか親御さんから欲しい答えが聞き出せない……という状態になりがちです。

親御さんからすると自分が亡くなった後のことは、ご家族任せになりますので、人によっては「当事者意識」をあまりお持ちでない場合もあります。

逆にあなたは申告手続きや納付をしなければいけない当事者ですので、ここで考え方にズレが生じる場合があるのです。

「自分事で心配な子ども vs 少し他人事の親」

という図式になってしまうと、話し合いというよりは親子喧嘩に発展してしまい、結局聞きたいことが聞けないままになってしまいます。

だからこそ親御さんに配慮した質問の仕方が大切になってくる、というわけです。

二者択一話法(または選択話法)とは?

さて、あなたはこの「二者択一話法(または選択話法)」という言葉をご存じでしょうか?

営業職の方や、営業職の経験がある方はご存じかと思います。

なぜなら、二者択一話法は営業マンの基本テクニックのひとつとして浸透しているからです。

「営業マンのテクニック? 何だか怪しいな〜」

と思われたかもしれません。

たしかに「営業マンのテクニック」と聞くと、「相手を思うままに操る」「人に物を売りつける」といったネガティブな印象がありますよね。

しかし、営業の本質とは「コミュニケーション」「課題解決」です。

コミュニケーションを通じてお客様の課題をお聞きし、その課題を解決できる商品やサービスを自分が持っていれば提案をする。

もし、自分が持っている商品でお客様が抱える課題が解決できないのであれば、自分の利益にならなくとも別の方法を提案する。

これが優秀な営業マンに求められる姿勢でしょう。

その最初のコミュニケーションを円滑にするための「相手への配慮のひとつ」が、この二者択一話法なのです。

そしてこの二者択一話法は、営業に限らず、人と人がコミュニケーションを深めるためにとても重要な配慮ですので、ぜひ私生活にも取り入れていただければと思います。

「何か食べたいものある?」にすぐに答えられない理由

例えばカップルや夫婦でよくあるこの質問。

「ねーねー、今日の晩御飯だけど、何か食べたいものある?」

誰でも一度は経験があるのではないでしょうか?

ちなみに、その時あなたは何と答えましたか?

「うーん、何でも良いよ」

おそらくこれが回答率ダントツ1位ではないかと思います。

では、それがこんな質問だったらどうでしょうか?

「ねーねー、今日の晩御飯だけど、和風か洋風だったらどっちが良い?」

こう聞かれると、「うーん、お昼はガッツリ食べちゃったからな〜。夜は和風でアッサリでどう? お刺身とか焼き魚とかさ」のように答えやすくなりますし、その後の会話も広がりやすくなります。

また、他にも「週末は何しよっか?」といった質問でも同じです。

「週末だけど、ショッピングかドライブだったらどっちが良い?」という質問の仕方に変えるだけで、「う〜ん、どっちも良いけど、たまには映画なんてどう?」という新しい選択肢まで引き出せるかもしれません。

それでは質問の仕方を少し変えるだけで、こんなに答えが変わってしまうのはなぜなのでしょうか?

それは私たち人間には、「自分の自由意志で選びたい。でも、選択肢が多すぎると選べない」という心理があるからです。

漠然とした質問だと、答えを出すのが難しいんですね。

「え? 今夜食べたいもの? うーん、今は何が食べたいんだろう? ハンバーグ? あっ、ハンバーグは一昨日食べたばっかりだっけ……え〜っと、じゃあ……」

と、私たちの脳は最近の記憶を頼りにそれっぽい答えを用意しようとしがちです。

ところが二者択一話法を使うだけで、質問された人は答えやすくなるだけでなく、プラスαの答えも出しやすくなるんですね。

この話法を応用するだけで、大切な人や気になっている人との日常会話もずいぶん変わるはずです。

ご家族に「どこでご飯食べたい?」と聞くよりも「イタリアンか和食だったらどっちが良い?」とか。

初めて会った人に「趣味は何ですか?」と聞くよりも「休日は出かけることが多いですか? それとも家で過ごす派ですか?」とか。

そうやって聞き方を少し工夫するだけで相手は答えやすくなるんですね。

ネガ男くん
なるほど!

たしかに僕の聞き方は漠然としすぎていて、父親は答えにくかったのかもしれないですね〜。

それに父親に相続税の知識が無かったら答えようもなかっただろうし、はぐらかされたのもしょうがなかったのかもな〜。

ポイントは数字(金額)で二者択一にすること

それでは、親に相続税のことをさりげなく聞いてみるにはどんな質問の仕方が良いのでしょうか?

まず、プライドの高いお父さんであれば、それに配慮することが大切になってきます。

いきなり核心をついた質問は避けましょう。

まずはそれとなく話題を振ってみます。

その際に気をつけたいのは「あなたの知識を誇示しないこと」です。

例えば、「相続税について調べたんだけど、ウチはちゃんと対策とかしてんの?」といった質問の仕方だと、会話が広がらない可能性が高くなります。

もしお父さんが相続税について詳しくなかった場合、子どもより自分が明らかに知識がないことを「情けない」と感じてしまうかもしれないからです。

そんなときは「あなたの知識が下、もしくは同等」ということを強調した方が会話が上手く進む可能性が高くなります。

例えばこんな感じはいかがでしょうか。

「この前テレビ見てたらさ、なんか相続税についてやってたんだよね。もし対策するなら早い方が良いんだってね」

ここでのポイントは、「あくまでもあなたも偶然知った1人であること」をアピールすることです。

面倒かもしれませんが、その方が会話が広がる可能性が高くなります。

そこでお父さんが話しに乗ってきたら、相続税についての話を広げていきましょう。

「そう言えば会社の人も相続税の手続きとか納付が大変だったって言ってたよ」

「お父さんはおじいちゃんが亡くなったときに相続税は払ったの?」(あなたの祖父母がすでに亡くなられている場合)

「なんで身内の遺産を相続するだけなのに税金払わないといけないんだろうね?」

という具合に、第三者の話をしたり、親御さんの経験談を聞いたり、税金をお互いの共通課題にするなどして、お父さんとの気持ちを同調させていきましょう。

また、それ以外にも「「相続税の歴史」と「世界の相続税」を知れば、誰もが節税対策したくなる」で紹介したことを併せて伝えていただくと、さらに相続税対策に興味を持ってもらえるかもしれません。

そして頃合いを見計らってこの質問をします。

それでさ、ウチの場合はもしお父さんが亡くなったら法定相続人はお母さんと俺ら兄弟の合計3人だから遺産が4800万円以上だったら課税対象になっちゃうんだよね?

どう? ウチも相続税払うことになりそう?

それとも払わずに済ませれそう?

もし課税対象になるんだったら、今のうちに一緒に対策できることないかなと思ってさ。

ポイントは、あくまでも相続税については詳しく知らない前提ながら、「4800万円」という基礎控除額の数字(金額)を明示することです。

基礎控除額の計算方法が知りたい方はこちらをどうぞ。
相続税の課税対象者かどうかが簡単に分かる「基礎控除額」の計算方法

そうすることでお父さんへの質問が「4800万円より資産が多いか少ないか」の二択で考えてもらうことができるからです。

上手くいけば、「そうだな〜。この家だけでも3000万円くらいになると思うから預金とかも合わせるとギリギリ超えるかもな」といった答えが引き出せるかもしれません。

また、その場では明確な答えがもらえなかったとしても、お父さんの頭の中には「4800万円以上なら相続税の課税対象になってしまう」という意識は少なからず残るはずです。

そうすればお父さんも相続税について少し調べてみたり、誰かに相談してみたりしてくれるかもしれません。

もちろん「親子で何でも話し合える仲」が築けているのであれば、こんな回りくどい質問をする必要はありません。

ただ、必ずしもそういう家庭ばかりではないかと思います。

また、歳を重ねるとお互い考え方が偏ってしまったり、頑固になってしまって思うように会話ができないことも。

だからこそより一層、「相手に配慮した話し方」を意識したいですね。

まとめ

「親子の会話ってこんなに難しかったっけ……?」

相続に限らず、家族と重要なテーマについて話し合いをしようとしたときに、思わぬ壁に直面することがあります。

この壁の厚さは人それぞれですが、「それまでどれだけ家族で課題に対して向き合う機会を作ってきたか?」によって、この厚さが決まってしまうのかもしれません。

ただこれは目を背け続けられる課題ではないことも事実です。

悲しい話ですが、それまで仲良かった親子や兄弟姉妹が、この課題を前にした途端に仲違いしてしまうことも少なくありません。

相続を「争続」「争族」にしたいために、今回ご紹介した情報がお役に立てれば幸いです。

本日も「ポジティブ終活」に来てくださってありがとうございました。

ネガ男くん
なるほど、よ〜く分かりました!

いま振り返ってみると、あの時の僕は親の気持ちはあまり考えずに自分中心で物事を考えていた気がします。

それが結果的に親が答えにくい状況を作ってしまっていたのか〜。

でも今回教えてもらった二者択一話法を使えば、何だか上手くお父さんと話せそうな気がしてきました!

ポジ仙人
ホッホッホッ。

今からネガ男くんがお父さんと話したらとっても良い話し合いができそうじゃの〜。

ただ、そこまで自分を責めたり追い込まなくてもいいんじゃよ。

なぜなら2人は血の繋がった親子なんじゃからのう。

子どもの幸せのために親が頑張るのは当たりまえのこと。

きっとお父さんもそう思っているはずじゃよ。

もちろん親子であっても配慮は大切じゃが、行き過ぎて他人行儀になるのも違うからのう。

相手のことを想った上で、率直な気持ちを親御さんに伝えれば、その想いはきっと伝わるはずじゃよ。

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