

確かに”終活”という言葉を聞くと、どうしても「死に支度」のような印象があるからの〜。
「まだ30代や40代なのに自分が死んだときのことを考えるなんてネガティブすぎるよ!」と思うのも無理がないかもしれん。
ただ、人生というのはいつ何が起こるか誰にも分からんからの。
終活のひとつひとつを噛み砕いて考えていけば、たとえ30代、40代であっても早すぎることなんてないということが分かってもらえるはずじゃよ。
「人間、いつ死ぬか分からない」
頭でこの言葉の意味を理解できていても、親御さんや周りの年配者がまだまだご健在の中でなかなか自分ごととして考えられないですよね。
また、日本人の平均寿命は2016年時点で女性が87.14歳、男性が80.98歳となり、世界2位です。
※ちなみに1位は香港です。
このデータだけ見ると、
「まぁ、このままあと40〜50年くらいは生きていくんだろうな」
という感覚が普通ではないでしょうか。
ところがこれはあくまでも”平均”寿命。
実際にこの年齢まで生きられる確率を見てみると、女性は約62%、男性は約63%となっています。
※出典:平成28年簡易生命表の概況|厚生労働省より
つまり4割近くの人は平均寿命まで生きられないということですね。
野球の打率で4割近くと言えば全盛期のイチロー選手クラスですので、なかなかの確率だと言えるのではないでしょうか。
健康寿命は平均寿命のマイナス10歳前後
平均寿命が80歳だからと言って、決して今の元気な身体のまま80歳まで生きられる訳ではありません。
実は厚生労働省が発表している「健康寿命」というものがあります。
健康寿命とは「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間」のことで、2001年〜2013年までは男女ともに以下のように推移しています。

出典:厚生労働省「平成28年版厚生労働白書 -人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-」より
これを見ると、男性であれば平均寿命よりマイナス9年、女性であれば平均寿命よりマイナス12年くらいが健康寿命であることがお分かりいただけるかと思います。
つまりこれは、健康寿命を過ぎた9年〜12年は病気を抱えていたり、介護が必要な状態であることを意味しています。
それを考えると終活は70歳までにある程度は終えておいた方が安心だと言えるでしょう。
50代、60代で終活する余裕と体力があればもちろん良いですが、若い内から定期的に身の回りを整理したり、終活についての知識や意識を持っておくことは決して早すぎることはないのです。
30代、40代でも「死」は他人事とは言えない
また、確率こそ低いものの、30代や40代でも決して「死と無縁」とは言い切れません。
厚生労働省が発表している2016年のデータを見てみると、30代と40代の男女別死亡率は以下のようになっています。
出典:「平成28年 人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)」を加工して作成
パーセンテージだけ見ていると、限りなく無縁に近い数字に見えますね。
女性は40代でも0.1%未満です。
ところが、これを人数で表現すると以下のようになります。
出典:「平成28年 人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)」を加工して作成
いかがでしょう?
ちょっとだけリアルな数字になりませんか?
とくに40代の男性は641人に1人と、かなり現実的な数字になっているのがお分かりいただけるかと思います。
もしもの突然死。準備次第で家族の負担も大きく変わる
100歳で亡くなったとしたら、ご家族も「ここまで長生きしてくれてありがとう」という気持ちで送り出すことができるかもしれませんが、30代や40代だとなかなかそうは行きません。
死というものは若ければ若いほど「早すぎる」という気持ちが募るからです。
おそらくその頃にはまだ親御さんがご健在である可能性も高いでしょう。
「愛する我が子を失った悲しみ」は想像を絶するものなはずです。
また、30代や40代という年齢で「もしものこと」が起こる時は、突発的な事故やアクシデントによる”突然死”である可能性も高くなります。
自分の大切な人がある日突然いなくなってしまうと、遺されたご家族はまずその現実を受け入れることができません。
言葉にできないほどの辛い思いをされることになるのです。
そんな精神状態で役所や金融機関などの関係各所に連絡をし、あなたが亡くなった旨を伝えていきます。
そして事務的に自宅へ届くたくさんの書類。
それらの書類すべてに自分の名前だけでなく、あなたの名前や死亡日を記入することになります。
その度に思い浮かべたくなくとも、あなたのことを思い浮かべ、「あの人はもういないんだ」という現実を無情にも突きつけられることになるのです。
また、書類の数が多いと、これが精神的にも体力的にも大変になってきます。
同じような書類を何度も書き、各所に持って行き、間違えた箇所には訂正印を押し、足りない書類を指摘され……。
これの繰り返しです。
そう考えると、大切な家族にそんな辛い想いをさせる機会は少ない方が良い気がしてこないでしょうか。
こんな小さなことだって立派な終活です
こう考えていくと終活は「災害に対する備え」と似ていることが分かってきます。
いつ訪れるか分からない、でもいつか必ず訪れるとされている地震などの大災害。
私たちがいずれ来る「死」を逃れられないのと同様に、地球や宇宙規模の災害から逃れることはできません。
ただ、もしその日が今日であっても大丈夫なように、非常食や保存食を入れた非常持ち出し袋を用意したり、家具を壁に固定したりと、「もしものとき」に備えることが何よりも大切ですよね。
そして備えが十分にできていれば、「もしものとき」が来たときに最低限の食料や日用品を確保できたり、元通りの生活に戻れるスピードも早くなるなど、体力的にも精神的にも負担を軽減することができます。
終活も災害もどちらも「もしものときのための準備が大事」という点では同じなのかもしれません。
ただひとつ違うのは、災害であれば生き延びられる可能性もありますが、終活は必ず「自分が命をなくしている」という点です。
「遺される家族のために何ができるのか?」
この視点で考えていくことが大切になってきます。
かと言って、いきなりお墓を建てたり、葬儀プランを決めたり、遺言書を書いたりすることは難しいでしょう。
だからこそ手軽なことから始めてみることをオススメします。
たとえば、
「複数持っている銀行口座を1つにまとめたり、不要な口座を解約する」
これだけ見れば割りと普通のことだと思いますが、実はこれも立派な終活のひとつです。
また、クレジットカードなんかもそうですね。
年会費無料の言葉に釣られて複数枚のカードをお持ちの方も多いはず。
ところが「もしものこと」があった時、ご家族はそれらのカードを一枚一枚確認していかなければなりません。
不要なカードを解約したり、家族に「使っているカードはこれとこれ」といった形で記録を残しておくのも立派な終活の一環です。
生命保険なんかはどうでしょう?
結婚をした、子供が産まれたなどの人生の節目で、死亡保険に入ることもあるでしょう。
これもある意味で終活と言えるんじゃないでしょうか。
他にもスマホやパソコン、SNSなどはどうでしょうか?
たとえばFacebookはあなたが亡くなった場合に備えて「追悼アカウント管理人」を設定できることをご存知でしょうか?

「設定」から追悼アカウント管理人を指定できる
そのアカウントをパートナーや親しい人に設定しておけば、何かあったときも安心です。
※追悼アカウント管理人に設定してもメッセージなどプライベートなやり取りを見られることはありません。
その他にスマホやパソコンで利用しているサービスやゲームなどで、毎月お金が引き落とされているものはないでしょうか?
あなたに「もしものこと」があった時、銀行はあなたの死を知った瞬間から銀行口座は凍結する義務があります。
※あなたが亡くなった瞬間からあなたの資産はすべて「相続財産」となるためです。
銀行口座が凍結されると自宅に口座引き落としやクレジットカードの引き落としができなくなるため、自宅に振込依頼書が届きます。
遺された家族は、振込手続きはもちろん、ひとつひとつ名義変更や解約の手続きをしていかなくてはならないのです。
大切な家族にそういった負担をかけないのも、ひとつの立派な配慮と言えるのではないでしょうか。
まとめ
今回は30代、40代で終活をすることが「早すぎるのか?」について考えてみました。
「早すぎる」という人と「早めにしておくべき」という人の意見を伺っていると、終活に対しての捉え方の違いがあることが分かってきます。
▼「早すぎる」という人の場合
終活を「死に急ぐ人だけがやること」だと捉えている
▼「早めにしておくべき」という人の場合
終活を「”もしものこと”が起こった時の準備」だと捉えている
もし終活についての意見交換をされる場合は、相手の考え方の前提条件を理解した上で話すと、話がスムーズに進むかもしれませんね。

僕なんて終活はおろか災害の対策もできてないです……(泣)
実際に”もしものこと”が起こったときに、準備をしている人としてない人の差ってスゴそうですもんね。
僕はまだ20代ですけど、今の内にできることはやっておこ〜っと!
まずは長年使ってない物の断捨離から始めてみようかな!

ネガ男くんはまだ若いから、なかなか実感が湧きにくいかもしれんの〜。
ただ、ネガ男くんの言う通り、「準備ができている人」と「準備ができていない人」では大きな差が出るのは間違いない。
それに終活と言っても短期集中でやるものじゃないからの。
小まめに片付けをしたり、不要なものを整理しておくことで自然と身の回りがスッキリしていくはずじゃよ。
みなさんもできることから始めてみてはいかがかの〜?
正直言うと「まだまだ若いのに亡くなるときの準備をするなんて縁起でもない……」と思ってしまうんですが、どうなんでしょうか?