人生の後半を安心して過ごすために注目されている「終活」。しかし、メリットばかりが強調される一方で、実際には見落とされがちなデメリットもあります。
この記事では、独身で将来に不安を抱える女性の立場から、終活におけるデメリットとその対処法についてわかりやすく解説します。
1.終活の準備がかえって不安をあおることがある
一見すると前向きな取り組みに見える終活ですが、始めるタイミングや内容によっては、かえって心の負担になることもあります。ここでは、終活によって不安を感じやすくなるケースについて詳しく見ていきましょう。
死を意識しすぎて気持ちが落ち込む
終活は「死の準備」と直結して考えられることが多く、自分の死を具体的に想像することで、不安感や孤独感が増してしまうことがあります。
特におひとりさまの場合、相談できる相手がいないとネガティブな気持ちに飲み込まれてしまうこともあるでしょう。ふとした拍子に「自分がいなくなった後のことばかり考えているなんて…」と、自分自身を責めてしまうかもしれません。
日常生活で元気に過ごしていても、終活を通して「病気になったときどうしよう」「介護は誰に頼めばよいのか」といった現実的な課題が次々と浮かび上がってきて、不安が膨らむ要因にもなります。
終活を始めたことで、気持ちが暗くなってしまわないように注意が必要です！
自分の人生を「終わらせる」ように感じてしまう
終活を進めることで、まだ元気な自分を「老い」や「死」と結びつけてしまい、やる気をなくすケースもあります。「まだ早いのでは？」と感じてしまうこともあるでしょう。
終活が「これからをどう生きるか」よりも「どう終わるか」に重きを置きすぎると、今の暮らしを楽しむ気持ちが薄れてしまうこともあります。人生の終わりに備えることは大切ですが、同時に今を充実させることのバランスも忘れてはなりません。
2.家族や周囲に誤解されることがある
終活を始めると、身近な人とのコミュニケーションにも影響が出ることがあります。意図しない誤解やトラブルを避けるためにも、どのような点に注意すべきかを事前に知っておくことが大切です。
終活に対するネガティブな反応
終活を始めたことを周囲に伝えると、「縁起でもない」と否定的な反応をされることがあります。
特に年齢が若い段階で始めると、家族や友人に驚かれることもあります。「どうしてそんなことを急に考え出したの？」と不安に思われたり、「まだ早すぎるよ」と心配されることもあるでしょう。
親しい間柄だからこそ、「死を意識しているなんてショック」と思わせてしまうかもしれません。自分では将来に備えて冷静に準備を進めているつもりでも、相手にとってはそれがネガティブな印象に映ることもあり、思わぬ誤解を生む原因にならないようにうまく伝えることが大切です。
相続や遺言の話がトラブルの原因になる
終活の中で避けて通れないのが「お金」の話です。財産の分け方や葬儀の希望などを伝えたことで、かえって親族との関係がぎくしゃくすることもあります。
特に、兄弟姉妹や親戚間で意見が合わない場合には、「誰がどれだけもらうべきか」や「どこに葬るか」といった話題が感情的な対立を引き起こすケースもあるでしょう。
さらに、遺言書の内容や保険の受取人など、細かな点に関してもトラブルになることがあるため、慎重な伝え方や事前の話し合いが求められます。終活は「争族（そうぞく）」を避けるための手段でもありますが、逆に準備不足や伝え方ひとつで関係を悪化させる可能性もあるので注意が必要です。
3.費用や手間がかかることも
終活には精神的な負担だけでなく、現実的な費用や作業の手間といった課題もあります。ここでは、金銭面や体力面でのデメリットについて詳しく見ていきしょう。
エンディングノートや葬儀の準備にお金がかかる
終活には、意外と費用がかかります。エンディングノートの購入、葬儀の事前相談、納骨先の準備など、始めるだけでもいくらかの出費が必要です。終活セミナーや相談サービスも有料のものが多く、計画的に進めないと金銭的に負担です。
さらに、信頼できる業者を選ぶための情報収集や見積もり依頼にも手間がかかり、そのプロセスだけで数週間かかることもあります。エンディングノートも安価なものから高額な講座付きのセットまで幅があり、内容を吟味するのも手間のひとつです。
また、自分に合った葬儀の形式や納骨方法を決めるためには、複数の葬儀社や霊園を比較検討する必要があり、心理的にも疲れてしまいます。結果的に「よくわからないから後回し」となり、必要な準備が進まないままになってしまうリスクもあります。
モノの整理や手続きに時間と体力を使う
「断捨離」や「書類の整理」など、終活に伴う作業は意外と体力がいります。特に仕事をしながら進める場合、休日を費やしてまで行うのは負担に感じることもあるでしょう。
また、長年保管していた思い出の品に向き合う時間は、精神的にもエネルギーを消耗します。「捨てるのがもったいない」「誰かに譲るべきか」と迷いが生じ、作業が進まない原因にもなります。重要書類の整理も、内容を確認しながら行う必要があり、ひとつずつ丁寧にチェックするだけで数日〜数週間かかるでしょう。
4.終活の情報が多すぎて迷ってしまう
終活に関する情報は年々増えていますが、その多さがかえって迷いや不安を生む原因になることもあります。ここでは、情報過多によって起こる困りごとや注意点を見ていきましょう。
何から始めていいのかわからない
終活に関する情報は年々増えていますが、逆にそれが混乱のもとになることもあります。インターネット上にはエンディングノートの書き方、断捨離の進め方、葬儀の事前相談まで多くの情報が溢れており、どれを参考にすればよいのか迷ってしまう人も少なくありません。
また、自分の立場や年齢、家族構成によっても最適な終活の進め方は異なりますが、そうした個別の事情に合わせた情報が見つけにくいという課題もあります。情報が断片的で「これで合っているのかな？」と不安になったり、やる気はあっても一歩を踏み出せずに手が止まってしまうこともあるでしょう。
さらに、書籍や講座に手を出しても内容が難しく感じてしまったり、逆にあまりに漠然としていて「結局何をしたらいいの？」と困惑するケースもあります。情報の量が多いからこそ、信頼できる情報源を選び、順序立てて取り組む姿勢が重要です。
業者選びに失敗するリスクも
終活をサポートする業者は多くありますが、中には強引な営業をするところや、費用に見合わないサービスも存在します。焦って契約すると後悔につながるケースもあるため、慎重さが必要です。
特に「無料相談」と言いながら高額なプランを勧めてきたり、必要以上のサービスを押しつけられると、それがかえってストレスになってしまうかもしれません。
また、情報の少ない分野ほど比較検討が難しく、「近所だから」「知人に紹介されたから」といった理由だけで業者を決めてしまうこともあるでしょう。口コミや第三者機関の評価をチェックし、複数社に相談することで、より安心してサービスを選ぶことができます。
終活のデメリットを減らすためにできること
終活にはさまざまなデメリットがありますが、それらをすべて避けることは難しくても、工夫次第で負担を軽くすることは可能です。ここでは、終活を前向きに進めるためのヒントをご紹介します。
小さなことから始めてみる
いきなり遺言や葬儀の話を始めるのではなく、まずは日記感覚でエンディングノートをつけてみる、不要な書類を少しずつ整理するなど、「できることから」でOKです。たとえば、財布の中の診察券や保険証を見直したり、使っていない通帳を整理したりするだけでも立派な終活の一歩です。
また、自分の思いや希望を少しずつ書き留めていくことで、気持ちの整理にもつながります。完璧を目指さず、今日できることを一つやってみるという気軽な気持ちで取り組むことが長続きのコツです。
信頼できる人に相談する
終活は一人で抱え込まず、信頼できる友人や専門家に相談することが大切です。市区町村の無料相談窓口や、終活アドバイザーによる講座なども活用してみましょう。身近に相談できる人がいない場合は、オンラインの終活コミュニティなどを活用するのも方法の一つです。
専門家に相談することで、自分では気づかなかった視点や制度を知ることができ、安心感にもつながります。何から始めればいいか悩んでいる段階でも、遠慮せず相談してみるとよいでしょう。
「今をよく生きる」ことを意識する
終活は「今の自分を見つめ直す機会」でもあります！
「死に備えること＝今を豊かにすること」と捉えれば、気持ちも前向きに切り替えられるはずです。やりたいことをリストにして一つずつ叶えていく、写真を整理しながら思い出を振り返るなど、今この瞬間の時間を大切にする意識が自然と芽生えてくるでしょう。
また、「誰かに迷惑をかけたくない」という想いから始まる終活も、結果的に自分自身が納得できる生き方へとつながります。自分の人生を振り返り、これからをどう生きたいかを考える時間は、終活を通して得られる大きな収穫のひとつです。
終活はやり方次第で不安を減らせる
終活には不安やデメリットもありますが、それを乗り越えることで、自分らしく生きる準備ができます。無理をせず、自分のペースで進めることが大切です。誰かのためではなく、自分の心を整えるための終活。無理のないペースで、自分に合った形で取り組んでいきましょう。
例えば、月に一度だけ書類整理の日を決めたり、気が向いたときだけエンディングノートに思いついたことを書くなど、柔軟に構えることが継続のコツです。
終活は「死に備える」ためだけでなく、「よりよく生きる」ための手段として捉えることで、心の安定や前向きな気持ちにつながります。自分の想いを言葉にすること、生活を見直すことは、これからの人生をより豊かにする第一歩です。